2023 Fiscal Year Research-status Report
景観に生じる違和感の影響とその要因に関する認知心理学的検討
Project/Area Number |
22K05710
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
飛田 国人 大阪公立大学, 大学院現代システム科学研究科, 准教授 (40465919)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 受動的接触 / 画像合成 / 伝統的建造物群保存地区 / オンライン実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
社寺周辺や歴史的な街並みを保つ地域の周辺に高層の建物が建設され,写真に写り込むことや,視界に入ってくることは珍しくない。本研究では心理学の実験手法を用いて、違和感が景観の心理的評価にどのような影響を及ぼすかを明らかにすることを目的としている。これまでに、違和感を生じる景観に何度も接触すると、単純接触効果によって好ましさが低下することが示した。しかし、観光地や自然景観など、複数の景観の種類を含んだ実験であったため、昨年度に引き続き、本年度も歴史的景観に限定して実験を行った。 これまでに行った実験では、歴史的景観にビルなどを合成した違和感景観と、合成しない統制景観を用いていた。しかし、統制景観に対しては写真合成を行っておらず、写真合成の有無が実験結果に影響した可能性があった。そこで、統制景観においても写真合成をすることで、刺激の操作が与える単純接触効果への影響を調べた。その結果、刺激画像への写真合成の有無で有意な差は認められず、これまでの実験結果を補強することができた。 また、同一の実験方法で行った幾何学刺激に対しては接触の有無で、景観の好ましさに有意な差が認められたものの、歴史的景観に対しては、違和感の有無による好ましさへの有意な効果が認められなかった。単純接触効果は、顔では受動的に刺激に接触するだけでも生じるが、景観では客観的判断を行わなければ生じないことが示唆されており、本研究は景観写真への受動的接触であったため、単純接触効果が生じなかった可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験刺激への刺激操作の有無が実験結果に影響しないことを示し、これまでの実験結果を補強することができた。また、景観刺激への受動的接触と能動的接触が、好ましさ評価に影響する可能性を示唆したことは、景観評価に対する新たな視点となった。つづく実験計画についての研究倫理審査も申請済みであり、並行して実験プログラムを作成している。学会発表も行えている。
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Strategy for Future Research Activity |
景観刺激に対する能動的接触をさせる手順を組み込んだ手続きを用いて、実験を行う。また、閾下単純接触についての実験手続きを検討し、予備実験を行う。加えて、景観に含まれる要素による景観評価への影響を明らかにする方法を検討する。
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Causes of Carryover |
円安により旅費が不足し、国際会議に参加できなかったため、次年度使用額が生じた。今年度未使用額は国際会議参加費もしくは学会誌投稿料に使用する。
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