2022 Fiscal Year Research-status Report
Reconsideration of the use of Japanese gardens by Court noble, samurai families, and Zen monks in the first half of Muromachi
Project/Area Number |
22K05718
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Research Institution | Minami Kyusyu University |
Principal Investigator |
関西 剛康 南九州大学, 環境園芸学部, 教授 (80461656)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 庭園 / 日本庭園 / 庭園史 / 日本中世史 / 足利将軍家 / 天皇家 / 禅僧 / 庭園利用 |
Outline of Annual Research Achievements |
室町前期の京は、足利将軍家による室町幕府樹立によって武家の政治体制の強化が始まり、天皇家の社会的地位が低下し始めた。そのなかで、夢窓疎石を国師に迎えて禅宗(主に臨済宗)を保護し、天龍寺創建や西芳寺再興にみる庭園文化の転換期にあった。このような背景の中で、この武家(主に足利将軍家)、公家(主に天皇家)、禅僧(主に臨済宗)の3者による庭園を舞台とした文化交流が展開されていった。
そこで本研究では、主に以下の観点について解明することを目的としている。1)室町前期における3者(武家・公家・禅僧)を対象とした庭園の文化利用の再考、そして、2)特に室町前期の足利将軍家にみる公禅との文化交流の展開における庭園利用の解明である。これまでは、主に3者それぞれによる庭園利用に関する研究であった。しかし、近年の研究成果では、この3者間における交流から、特に足利将軍家ゆかりの武家庭園が、その影響を受けて独自に発展して行ったとする考察がなされ始めている。そのため、日本中世の庭園史ならびに日本文化史においても、重要な橋渡しとなる基礎研究になると考えられる。
今年度は、これまでの研究成果をふまえて、足利将軍家3代義満に注目して、さらに先行研究を深堀りすべく古文献を調査を実施した。調査は、応永4(1397)年から応永15(1408)年までの約10年間、特に北山第の庭園における3者によるの庭園利用や訪問についての基礎データを抽出した。調査をした古文献は、『教言卿記』『北山殿行幸記』『鹿苑院』等々である。詳細な古文献調査の結果、3者の関係性による庭園利用の変遷の一端が解明できると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの調査に加えて、北山第における3者による庭園利用に関する文献調査を実施した結果、3者による庭園利用の変遷や利用者実態を見出しつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの古文献調査によって抽出できたデータを基に、それらを先行研究と比較して、学術的整合性を図るまでに方向性が見えてきつつあるため、次年度は学会に発表するための準備に取りかかる予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由については、今年度はまだコロナ禍の影響が大きかったため、主に旅費や人件費への利用ができなかった点にあった。 次年度は、コロナも「5類感染症」に移行されるため、旅費や人件費等々への使用を行う予定である。
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