2023 Fiscal Year Research-status Report
How does a natural recession of pine wilt disease epidemic occur under cool climate conditions?
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22K05738
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Research Institution | Forest Research and Management Organization |
Principal Investigator |
中村 克典 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (40343785)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小澤 壮太 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 研究員 (10753139)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | マツ材線虫病 / 伝染病 / 流行 / 終息 / 媒介昆虫密度 / 宿主感受性 / 寒冷地 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、マツ材線虫病の被害が終息に至りつつあるマツ林を対象に、経年的な気象条件の変化に対する宿主(マツ)感受性、媒介昆虫密度の変動等を検証することで、流行の自然終息がどのような条件の下で生じるのかを明らかにすることを目的に、①岩手県北上市稲瀬のマツ枯損動態調査区での罹病木発生モニタリング、②近傍の苗畑に毎年植栽するアカマツ苗木へのセンチュウ人工接種による宿主感受性の年次変動の測定、ならびに③調査区マツ林における媒介昆虫の発生数調査を行ってきた。 前継課題から継続調査している調査区マツ林での罹病枯死木の発生は2015年以降基本的に低調で推移し、2021年夏以降0本となって流行の終息が確認されたが、2023年夏および秋の調査でそれぞれ1本、3本の罹病枯死木の発生が見られ、次の流行への徴候と考えられた。調査区マツ林におけるカミキリ成虫発生数は2017年以降1~8頭と低い水準を維持し、2022年は0頭であった。ただし、産卵翌年に成虫にならずに材内にとどまった個体(二年一化個体)が多数確認された。上記の通り、調査区マツ林では2023年夏に罹病枯死木が発生しており、それらは2022年夏にマツノザイセンチュウに感染したものと考えられる。2022年夏に林内でのマツノマダラカミキリの発生はなかったことから、2023年に発生した罹病枯死木の感染源は外部から飛来したマツノマダラカミキリに由来すると推定された。2023年の夏は全国的な猛暑で、材線虫病が発生しやすい環境と想定されたが、苗畑でマツノザイセンチュウを接種され苗木で確認された枯死率(宿主感受性)は極端に高いものではなかった。このことから、調査区マツ林での罹病枯死木の再発には、猛暑による宿主感受性の上昇が影響したとは考えられなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度までの調査で、本研究の目的のひとつである「マツ材線虫病の自然終息の確認」を達成することができた。同林分での当年度の継続調査で罹病枯死木の再発が確認されたが、外部の感染源に対してオープンな環境で実施されている観測であることから、当然ありうる状況であったと認識している。むしろ、それが林内で発生したマツノマダラカミキリによるものでないことを証明できたことは研究の成果である。このことも含め、必要なデータは着実に蓄積され、今後の解析にすすめることから、研究の進捗は順調と判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
調査区マツ林での罹病枯死木発生数モニタリングと媒介昆虫発生調査については2024年夏までのデータ収集を続行する。宿主感受性把握のためのマツノザイセンチュウ接種試験は当年の被害発生を考察する上で不要となるため、昨年度接種木の枯死率計測のためのデータを取得して終了とする。得られたデータを元に自然終息の確認と、それを導く要因に関する解析を行い、学会発表、論文作成に進む。
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Causes of Carryover |
研究上の都合により、当初現地雇用作業員により実施予定であった苗畑での前年度使用苗木の処理を研究担当者で実施することとしたため、未使用の人件費が生じた。未使用額は次年度請求額とあわせ、予定されている各種調査及び成果発表のための旅費に使用する。
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