2022 Fiscal Year Research-status Report
腐朽初期段階の樹幹傷における菌類相と腐朽進展との関連
Project/Area Number |
22K05758
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Research Institution | Forest Research and Management Organization |
Principal Investigator |
鳥居 正人 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (10793698)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 生立木腐朽 / 遷移 / 腐朽病害 / スギ / クマ剥ぎ |
Outline of Annual Research Achievements |
造林樹種における腐朽病害は、その材質劣化により経済的損失を招くだけでなく、風倒木の発生を助長し、森林管理上の問題となり得る。生立木の腐朽病害は特定の腐朽菌によって発生するが、腐朽部位には他の微生物も存在することから、腐朽の進展に伴い、材内では腐朽菌を含めた微生物の遷移が起こっていると推察されている。本研究では、生立木における腐朽病害発生プロセスの解明を目指し、腐朽病害発生や腐朽進展に菌類相の遷移が与える影響を明らかにすることを目的とする。 当該年度では、まず腐朽病害において菌類相の遷移が一般的な事象であるかを検証するため、ニホンツキノワグマによる剥皮害後に材内に生じる腐朽を対象とし、スギ被害木内の菌類相を調べた。その結果、いずれの被害木においても、採取した高さや横断面の位置によって優占する分類群は異なっていた。さらに、被害木の上部から下部にかけて、あるいは健全部と腐朽部の間にある材変色部から剥皮された材外側まで連続的に分離頻度が変化する分類群がみられた。ニホンツキノワグマによる剥皮は、地際付近から上方に向かって発生し、その剥皮部が腐朽菌の侵入口となり、そこから材の上部あるいは材の中心部へ腐朽が進展する。本調査では位置ごとに連続的に分離頻度が異なる分類群がみられたことから、ニホンツキノワグマによる剥皮被害木における腐朽においても、腐朽の進展に伴い、菌類相の遷移が起こっていると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実施計画に沿って試験を進められており、腐朽病害発生や腐朽の進行に腐朽菌以外の他の微生物が与える影響についても当該年度に既に着手できているため。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度に腐朽病害発生や腐朽の進行に腐朽菌以外の他の微生物が与える影響に関する試験を開始しており、次年度以降にその解析を進めていく。
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Causes of Carryover |
物品調達に時間を要したと同時に、研究代表者の所属機関内での異動に伴い、ごく短期間の研究の中断が生じ、年度内の納品ができなかったため、次年度使用額が生じた。実験環境が整い次第、不足物品の調達を行い、引き続き試験を継続していく。
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Research Products
(1 results)