2022 Fiscal Year Research-status Report
Impact resistance of 3D network materials learned from patterns in nature
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22K05767
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
巽 大輔 九州大学, 農学研究院, 准教授 (60293908)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 多孔質材料 / セルロース / 木材 / 粘弾性 / モデル / 3Dプリンタ / べき乗則 / 空隙 |
Outline of Annual Research Achievements |
木材は、内部に大きさや形状の異なる空隙を多数有した多孔質材料の一種である。その力学的性質は、他の多孔質材料と同様に、材料の空隙率あるいは密度と相関があることが知られている。しかし木材の空隙は、大きさや形状のみならずその分布等も複雑であり、これらのパラメータがそれぞれどのように材料の力学的性質に影響を及ぼすのかについては十分な理解が及んでいない。一方で、空隙の特徴を抽出したモデル材料の弾性率を検討した研究例では、モデル材料の弾性率が空隙の大きさおよび数に依存することが示されている。しかし、これらの研究は定性的議論の域を出ず、モデル研究の知見を木材に適用することは難しい。そこで本研究では、孔の大きさを系統的に変えたモデル材料を調製し、その力学的性質について検討した。材料にはUV硬化樹脂を用い、3Dプリンタによって円筒形の孔をくり抜いた円板状のモデルを作製した。孔の径を変化させることでモデル材料の体積分率を変化させ、それらを動的粘弾性測定に供して孔径と貯蔵弾性率の関係について検討した。 円板(径40 mm、高さ5 mm)内に円筒(径r = 0.50, 0.75, 1.00 mm、高さ5 mm)状の孔を均等に空けたデータを、光造形3Dプリンタを用いてウレタンアクリレートにより造形した。2-プロパノールで洗浄および2次硬化後、造形したモデル試料を粘弾性測定に供した。測定は、動的粘弾性装置を用いて、貯蔵弾性率G'の角周波数ω依存性について線形領域内ひずみ(γ = 0.1 %)における動的粘弾性測定を行った。 モデル試料の貯蔵弾性率G’ と体積分率φの関係を両対数プロットで表すと、両者の間に直線関係が得られた。すなわち、G' = Aφ^α で表される関係があることが示された。また、孔径rによってαの値が変化しており、α ~ r^-1であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定としては、初年度は3Dプリンタを用いたネットワークパターンの造形を行うこととしていた。今回作成したのは木材を念頭に置いた多孔質モデルである。しかしながら、多孔質モデルであっても実質部分(樹脂部分)がつながったネットワークとみなすことができ、その点で当初予定通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点では、材料の評価法としては動的粘弾性測定のみである。今後は、材料の導電性測定を行い、それから得られるパラメータである導電性とすでに測定した粘弾性の同等性について検討する。また、与える刺激をパルス状とすることで耐衝撃性についても検討を行う。
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Causes of Carryover |
人件費・謝金を当初計上していたが、実際には支出がなかったため次年度使用額が生じた。これは額としては少額であり、次年度に有効に使用することとする。
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Research Products
(1 results)