2023 Fiscal Year Research-status Report
大規模木質構造接合部を意図した木材の曲げ・せん断耐力性能評価
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22K05769
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Research Institution | Osaka Sangyo University |
Principal Investigator |
北守 顕久 大阪産業大学, 工学部, 准教授 (10551400)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 木材強度 / せん断 / DIC / 切り欠き |
Outline of Annual Research Achievements |
持続可能社会の実現において、木造建築物への期待が高まっており、近年では中大規模木質構造技術の発展と実建築への応用が著しい。一方で、適材適所に木材を使用するためには、その強度性能を正確に評価する必要がある。本研究は、設計時に大きな耐力低減を見込む必要があるとされる切り欠きの影響について実験的に評価を行い、切り欠き の形状と荷重条件に応じた有効な耐力低減係数を示すこと最終的な目標とした検討を行っている。 本年度は、木材中に部分的な切り欠きを持つ木材試験体の曲げ特性について評価を行った。試験体として無欠点スギ製材を用い、切り欠きの大小、個数、位置等をパラメータとした静的曲げ破壊試験を実施し、それらが強度特性に与える影響と、強度発現前後で生じる現象について観察・分析を行った。3次元形状を持つ切り欠きが上記の特徴に与える影響についても同様なパラメータを設定した実験を実施し、その影響について評価分析を行った。2次元形状の切り欠きを持つ試験体については、画像相関法による表面ひずみ分布の計測を実施し、部材内での応力分布やその集中について調査し、その強度性能との関連について評価を行っている。一方で3次元形状の試験体については、試験体表面のひずみのみが計測される画像解析では内部応力分布の調査が困難であったため、ひずみゲージを主体とした計測と併用して実験を行っている。 現時点では特に3次元形状の部分切り欠きの低減係数を定めるに至る明確な結論には至っていないが、次年度も引き続き実験的検討を継続する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に従って実験・解析を実施している。2次元形状の切り欠きについては、実験結果をもとに耐力低減係数の決定に関する取りまとめを行っている。3次元形状の切り欠きについては、実験結果のばらつき等を踏まえ、切り欠き部の応力集中の与える影響を考慮した分析を実施している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画調書において、最終年度は欠き込みによる荷重低減に対する有効な補強方法について検討を行うこととしていた。これに従い、全ねじスクリューを打ち込むことで割裂を抑制し、切り欠きによる耐力低減を補強する手法に関して実験的な検討を行う。スクリューの位置、本数等をパラメータとした実験と、スクリューを打ち込むことによる応力分布の変化の観察を行い、その影響について定量的な評価を行う。 併せて、これまでに実施してきた2次元、3次元形状の切り欠きの耐力低減に対する影響評価に関して、パラメータを追加した補足実験を実施し、結果を取りまとめつつ耐力低減係数を決定する。
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Causes of Carryover |
2年時には海外学会での研究発表に伴う旅費として多くの額を見込んでいたが、昨今の世界情勢を考慮して、これを見送ることとしたため、若干の研究費の余剰が生じた。このため、最終年度に実施予定の追加試験のための費用とすることを考え、次年度使用とすることとした。
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