2022 Fiscal Year Research-status Report
F1クローン系統育種基盤形成への画期的アプローチ -倍加半数体の量産技術の改良-
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22K05838
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
小林 徹 近畿大学, 農学部, 教授 (00298944)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 倍加半数体 / 染色体操作 / 雌性発生 / 卵割阻止 / 異種刺激処理のコンビネーション / 中心小体 / ホモ接合 |
Outline of Annual Research Achievements |
雌性発生ダブルヒートショックホンモロコ卵への低温処理を試み生存性への影響を調べた。先行研究で通常発生卵に高温処理と低温処理を組み合わせることで高温処理を単一的に施すことにより、4倍体の収量が増えるとの報告がある。そこでこの技法を、ダブルヒートショックを施した雌性発生卵に施し、発生成績や倍数化率への影響を調べた。人工精漿で100倍に希釈し紫外線を照射した精子で授精した卵を20℃の飼育水を満たした水槽に撒き、6枚のすりガラスに付着させた。このうち1枚は雌性発生対照区(GC)とし、残りの5枚を40.5℃の高温に15分間隔でにさらした。このうち1枚(HS、高温処理のみ)を除き、残りの4枚は2回目の高温処理の直後から0~0.3℃の冷水に20分、40分、60分、80分間それぞれさらした。これらの1日後生存率、孵化率、孵化仔魚の形態および倍数性を判定した。また、各孵化仔魚の8つのマイクロサテライト遺伝子座の遺伝子型を調べ、雌性発生および卵割阻止の成否を判定した。孵化率は通常受精(IC)で64.7%、GCは51.1%、HSでは17.3%であった。低温処理を加えた実験区の孵化率は20分区4.8%、40分区3.3%、60分区1.3%、80分区0.7%であり、低温処理の延長につれ孵化率が低下した。正常形態を示す孵化仔魚の割合はICで97.3%、GCは4.3%、HSでは87.1%、20分区100%、40分区91.7%、60分区100%、80分区100%であり、HSより低温処理区の正常仔魚の割合は増加した。二倍体の割合はICで97.7%、GCは4.3%、HSで93.3%、20分区100%、40分区100%、60分区100%、80分区100%であった。処理区のホモ接合個体の割合はHS90%に対し、すべての低温処理区で100%であった。このことから、用いる低温処理強度の緩和を検討すべきと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回試みた処理条件では、既報のような低温処理による生存性の回復や倍数化の促進についての顕著な効果は見られなかった。現時点では用いた処理強度が強すぎたことが原因であろうと考えており、4~10℃の比較的緩やかな低温刺激を試みることで、生存率と倍数化率の向上を目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
4~10℃の比較的緩やかな低温刺激を試み、生存性の回復や倍数化の促進効果について引き続き検討するとともに、受精卵への低温刺激による雄性発生の誘導と、それへのダブルヒートショックによる卵割阻止についても検討し、単性発生育種技術を精子保存ゲノム形質の個体復元へつなぐ幅広い技術開発も検討する。
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Research Products
(2 results)