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2022 Fiscal Year Research-status Report

微細藻類の水熱処理システムの構築

Research Project

Project/Area Number 22K05905
Research InstitutionMie University

Principal Investigator

滝沢 憲治  三重大学, 生物資源学研究科, 助教 (10802671)

Project Period (FY) 2022-04-01 – 2025-03-31
Keywords微細藻類 / 水熱処理 / 炭化 / 最適化 / 培養 / 排液
Outline of Annual Research Achievements

微細藻類クロレラの水熱処理の最適条件を応答曲面法を用いて検討した.比較対象として,エネルギー作物の一種であるソルガムのバガスを選んだ.反応条件を反応温度150~250℃,反応時間0.5~3.5時間とし,重量収率,高位発熱量およびエネルギー収率を用いて評価を行った.その結果,ソルガムバガスでは233.24℃,2.36 時間において24.61 MJ/kg の高位発熱量が得られた一方,微細藻類では233.10℃,2.37時間において33.39 MJ/kgの高位発熱量が得られることが分かった.
また微細藻類の水熱処理で生成される排液(AP)を用い,微細藻類の培養能力の検証を目的とし実験を行った.結果として高希釈の×200,×100のAPでは微細藻類は十分成長し,低希釈の×50,×25のAPでは成長阻害が確認された.より栄養を多く含んでいる低希釈APでも培養をするため炭化物吸着後に培養したところ,ハイドロチャー吸着での最大成長量は無処理のAPに比べ約3倍の値になった.これは吸着剤として一般的に使われる活性炭と同様の結果であり,ハイドロチャーの吸着剤として利用できる可能性が示唆された.極性の違いによる分画したAPでの培養では,APの成分は極性の高い物質が大部分を占めており,極性の低い物質は成長に影響を与えるほど含まれていなかった.比較的極性の高い画分のAPでは,低濃度では成長を促進し,高濃度では成長を阻害した.最も高い極性の画分では,AP中に最も含まれ,低濃度においても成長阻害を引き起こすため,成長阻害に最も影響を与えることが示唆された.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当初の予定通り,微細藻類の水熱条件の最適化に関する実験が行われ,炭化物としてのエネルギー利用に関する知見が得られた.応答曲面法によって得られた回帰モデルは,実験値に対して83~100%の適合度を示し,その有効性が分かった.また草本系バイオマスであるソルガムバガスと比較することで,微細藻類の発熱量の優位性も確認された.一方で遊離脂肪酸からのFAMEへのエステル化実験が進んでおらず,次年度に行う予定である.
次年度に行う予定であった排液の微細藻類培養への適用に関する検討を今年度行うことができた.水熱処理排液を25,50,100および200倍希釈し,クロレラの培養を行った.藻類濃度,アンモニウムイオン濃度,リン酸濃度が測定され,希釈倍率による培養への影響を検証することができた.また培養が阻害される低希釈倍率の培地においても,水熱処理によって生成されたハイドロチャーが成長阻害物質を吸着できることが確認された.
また次年度に行う予定であった炭化物の物性評価に関しても一部実験を行うことができた.水熱炭化による温度条件の変化がハイドロチャーの成分や表面構造に与える影響を熱分解GC-MSを使用し調査した.炭水化物は反応温度が160℃の時,既に炭化反応が進行し,芳香族ではなく脂肪族の炭化水素が生成された.また反応温度が180℃の時,細胞壁の比較的分解されやすい成分の大部分が分解され,200℃になるとセルロースなどの分解されにくい成分も分解された.
このように一部実験を除き,当初の予定以上に実験が進展している.

Strategy for Future Research Activity

APには成長阻害物質が含まれていることが示唆されたが,成長阻害物質の特定や性質の解明は行われていない.AP中に含まれる成長阻害物質の特定や性質の解明に成功すれば,より効果的な除去方法や阻害物質が生成されにくい水熱炭化の条件の模索などの解決策発見に繋がる.APには様々な物質が含まれており,全ての成長阻害物質を完全に特定することは困難であるが,今年度,異なる極性の溶媒を用いてAPを極性の大きさごとに分画し,それぞれの画分で微細藻類の培養を行い,成長量を確認することができた.また今年度,ハイドロチャーによる阻害物質の吸着が確認されたことから,吸着前後の各極性溶媒の培養への影響を検討することで,ハイドロチャーがどの画分の成分を吸着しているのか調べる予定である.
炭化物の物性評価のために,熱分解GC-MSを用い炭水化物の反応温度に対する挙動を見ることができたが,たんぱく質および脂質の挙動に関しては,解析が進んでおらず,今後推進していく必要があると考えられる.
水熱処理によって生成される有利脂肪酸の燃料化の検討のため,アルコールを添加した条件で水熱処理を行い,FAME変換が同時に行うことができるか検討を行う予定である.

Causes of Carryover

購入予定の設備備品を別予算で購入することができ,その分の予算の余りが生じた.次年度,その予算を論文投稿料,設備備品費および消耗品費へ充てる予定である.

  • Research Products

    (4 results)

All 2023 2022

All Presentation (4 results)

  • [Presentation] Statistical approach on operating parameters in the hydrothermal carbonization of non- and lignocellulosic biomass: Response surface methodology-central composite design.2023

    • Author(s)
      Numan Luthfi, Takashi Fukushima, Kenji Takisawa
    • Organizer
      農業施設学会 学生・若手研究発表会
  • [Presentation] 炭化物吸着処理を施した水熱炭化廃液を用いた微細藻類の培養2023

    • Author(s)
      吉本周平, 福島崇志, 滝沢憲治
    • Organizer
      農業施設学会 学生・若手研究発表会
  • [Presentation] 水熱炭化を用いた藻類バイオマスの生産コストの評価2022

    • Author(s)
      中野寛大, 福島崇志, 滝沢憲治
    • Organizer
      第80回農業食料工学会年次大会
  • [Presentation] 微細藻類培養のための水熱炭化廃液の利用2022

    • Author(s)
      吉本周平, 山下日菜々, 福島崇志, 滝沢憲治
    • Organizer
      第80回農業食料工学会年次大会

URL: 

Published: 2023-12-25  

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