2022 Fiscal Year Research-status Report
Effect of increased paternal age on mitochondria of embryos
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22K05959
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
岩田 尚孝 東京農業大学, 農学部, 教授 (50385499)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 加齢 / 父親 / 胚 / ミトコンドリア / テロメア長 |
Outline of Annual Research Achievements |
同一の雄マウス個体(C57/B6)を使い、若齢時と加齢時に若齢メスマウスと交配し得た胚とその産子を比較した。ミトコンドリアのDNAコピー数とテロメア長はリアルタイムPCRで測定した。体内から回収した胚ではウシの加齢に伴い胚の発生率は変わらないが、胚の持つミトコンドリアDNAコピー数が減りテロメアの長さが有意に短くなることが明らかになった。2細胞から回収し体外で胚盤胞期胚まで発育した胚を比較すると、雄の加齢により細胞数が減少するなど胚の発育率が低下し、体内と同様にミトンドリア数が減ることが明らかになった。胚盤胞期胚ではミトコンドリアDNAコピー数とテロメア長の間には有意に相関が認められた。この相関はウシの体外発育胚やブタの単為発生胚でも認められた。雄の若齢時と加齢に作成した産子を生後直ちに実験に供し、体重を比較すると、加齢に伴い産子体重が減少することが明らかになった。さらにその心臓の細胞に含有されるミトコンドリア数が有意に減少した。雄の産子ではテロメアの長さも有意に減少したがメスの産子では差が認められなかった。メス産子のテロメア長やミトコンドリア数は雄産子よりも多いことが分かった。これらのことから、マウスでは雄の加齢は胚や産子のミトコンドリア数やテロメア長に影響する事が明らかになった。またミトコンドリア数とテロメア長の間の相関は動物種で保存されている現象ではないかと考えられた。若齢と加齢時の雄マウスから得た胚盤胞期胚をRNAseqに供し変化の分子背景を得ることが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
予定どおり、父親の加齢が胚のミトコンドリア数とテロメア長に影響する事実を確定でき、その影響が次世代にまで残ることを明らかにできた。さらに雄の若齢時と加齢時の胚を集めRNAseqに供し明確な分子背景を得ることが出来たことから、当初の計画で予定していた成果を上回る進展であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
マウスのデータから雄の加齢がどのような影響を胚に持つのかを解析し、さらにその変化の上流因子をIngenuity Pathway Analysisiなどで予測する。また当初の計画どおり様々な種類の雄凍結精液を用いて、ウシの胚盤胞を作成しておりこの胚中のミトコンドリアとテロメア長の相関を比較する。またテロメア長を操作する試薬やsiRNAを使いテロメア長を操作しテロメアの胚のミトコンドリアに持つ意義を明らかにする。
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