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2022 Fiscal Year Research-status Report

イバラキウイルス感染における相補現象の分子基盤とウイルス生存戦略

Research Project

Project/Area Number 22K05986
Research InstitutionKobe University

Principal Investigator

松尾 栄子  神戸大学, 農学研究科, 助教 (40620878)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 松野 啓太  北海道大学, 人獣共通感染症国際共同研究所, 准教授 (40753306)
Project Period (FY) 2022-04-01 – 2025-03-31
Keywords二本鎖RNAウイルス / 複製機構 / 変異 / 相補現象
Outline of Annual Research Achievements

本年度はまず、先行研究で観察された赤色蛍光タンパク質mCherry遺伝子を挿入したイバラキウイルス(IBAV)をハムスター腎臓由来細胞(BSR細胞)で継代すると生じる欠失パターンについて解析を進めた。先行研究では、RT-PCR産物をクローニングして解析を行なっていたため、プライマーが結合する領域が変異した株を解析することができなかった。また、RNAを細胞から抽出したため、ウイルス粒子中に取り込まれたRNAであるかは不明であった。そこで、感染細胞だけでなくその培養上清中からもRNAを抽出し、現在MiSeqで解析中である。また、mCherry遺伝子の欠失が起こる機序を解明するため、先行研究で得られた欠失パターンをもとにRNA二次構造を解析し、IBAV RdRpが読み飛ばしてしまう異常な対合の探索を開始した。さらに、各継代ウイルス集団の増殖性を細胞変性効果(CPE)とmCherryの蛍光に基づくフォーカスで解析したところ、CPEから算出されるウイルス力価がフォーカスから算出される力価を上回る前には欠失によって複製能を失ったIBAVが大量に生じることを示唆するデータを得た。
次に野生型IBAVと緑色蛍光タンパク質eGFP遺伝子、もしくはUnaG遺伝子を挿入したIBAVをシマカ由来細胞(C6/36細胞)で継代した。UnaG遺伝子を挿入したIBAVはC6/36細胞でウイルスゲノム複製およびタンパク質合成は行われたがUnaGの蛍光を観察することができず、ビリルビン結合タンパク質であるUnaGは昆虫細胞でのIBAV感染の可視化には不適であることが明らかとなった。野生型もしくはeGFP遺伝子挿入IBAVは継代が進むとC6/36細胞によりCPEを起こすようになった。現在、増殖性ならびにRNA組成の解析に向けて準備中である。また、IBAVの特性をより理解するため、同属のウイルスの解析も試みた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

当初の計画では本年度中にMiseqの解析の一部は終了する予定であったが、細胞由来のRNAの混入が予想以上にあったため、IBAV RNA由来のデータが十分得られなかった。そのため、RNA抽出方法の見直しをするとともに、継代実験を一部やり直している。また、当初は欠失が起こりやすいmCherry遺伝子と非常に安定なUnaG遺伝子を外来遺伝子としてゲノムに挿入したIBAVを用いて実験を行う予定であったが、昆虫細胞ではUnaGの蛍光を確認することができず、eGFP遺伝子を挿入したIBAVを用いる実験に切り替えたため計画遂行に遅れが生じている。さらにUnaGを昆虫細胞で用いることができない原因が恐らく「昆虫細胞がビリルビンを取り込まないために細胞内でビリルビンとUnaGが結合できない」であることを明らかするのにも時間がかかった。しかし、C6/36細胞での継代による明らかなIBAVの性状に変化を示すデータなど、研究を遂行する上で有益な情報が既に得られている。またIBAV RNAの抽出方法の改良もできている。よって、本年度は研究の進行が遅れているものの、R5年度は挽回できると考えられる。

Strategy for Future Research Activity

R5年度は引き続きmCherry遺伝子などの外来遺伝子を挿入したIBAVおよび野生型IBAVを哺乳動物細胞や節足動物細胞で継代し、新たに生じた変異集団のRNA組成の解析を試みる。特に、C6/36細胞への順化によって生じた変異について解析を行い、細胞指向性を決定するウイルス因子を探索するとともに、早期に消失した変異集団の各ウイルス株を作出し、性状解析を行う。また、mCherry遺伝子を挿入したIBAVのBSR細胞での継代によって出現した複製能を失ったウイルス集団についての解析し、フリーライダー化できる変異群の特徴を明らかにする。さらに、RNA二次構造解析から見つかったIBAV RdRpが読み飛ばしてしまうような異常な対合を起こす配列候補について、対合が起こらなくなるような同義置換を導入したIBAVを作出し、外来遺伝子の欠失パターンの変化を解析し、外来遺伝子欠失が起こる機序の解明を進める。また、RNAの網羅解析で得られたデータをもとに、IBAVの変異パターンのモデリングを試みる。

Causes of Carryover

研究計画がやや遅れているため、予定していた実験(主に網羅解析関連)に用いる費用分を翌年に繰り越すことになった。また、学会がオンライン開催になったため、旅費・宿泊費が不要となった。次年度、今年度できなかった実験遂行のために使用予定である。

  • Research Products

    (6 results)

All 2022 Other

All Int'l Joint Research (1 results) Presentation (3 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results) Remarks (2 results)

  • [Int'l Joint Research] ロンドン大学衛生熱帯医学大学院(英国)

    • Country Name
      UNITED KINGDOM
    • Counterpart Institution
      ロンドン大学衛生熱帯医学大学院
  • [Presentation] ダニ媒介性オルビウイルスの複製機構に関する研究2022

    • Author(s)
      松尾 栄子、松野 啓太、中尾 亮、佐伯 圭一、林 昌宏、河野 潤一
    • Organizer
      第165回日本獣医学会学術集会
  • [Presentation] Tick-borne orbivirus VP6 protein can efficiently recognize its own VP3 proteins during virus replication?2022

    • Author(s)
      Eiko Matsuo, Yuki Mitsuda, Keiichi Saeki, Chang-Kweng Lim, Junichi Kawano and Polly Roy
    • Organizer
      Tenth Virus Assembly Symposium
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] オルビウイルスの種特異性発揮における構造タンパク質VP6の役割2022

    • Author(s)
      松尾 栄子、満田 優希 、佐伯 圭一 、林 昌宏、河野 潤一 、Polly Roy
    • Organizer
      第69回日本日本ウイルス学会学術集会
  • [Remarks] 神戸大学農学部インターゲノミクス研究会

    • URL

      http://www.research.kobe-u.ac.jp/ans-intergenomics/researcher.html

  • [Remarks] 神戸大学大学院農学研究科

    • URL

      http://www.ans.kobe-u.ac.jp/index.html

URL: 

Published: 2023-12-25  

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