2023 Fiscal Year Research-status Report
OGR1オルソログを利用した微量金属特異性を感知するOGR1のアミノ酸配列の決定
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22K06049
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
戸村 秀明 明治大学, 農学部, 専任教授 (70217553)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鹿島 誠 東邦大学, 理学部, 講師 (10780562)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | OGR1 / 微量金属 |
Outline of Annual Research Achievements |
OGR1は細胞外pHの低下によって活性化するプロトン感知性GPCRである。これまでOGR1の研究は、がん組織などpHが低下している組織で精力的になされてきた。一方、ヒト、マウスのOGR1が、プロトンに加えて微量金属によっても活性化される金属感知性GPCRであることが2015年に見いだされた。本研究では「OGR1が、いままで不明であった微量金属の感知、制御を司る分子であるのか、またそうであるのならOGR1は生理的、病態生理的にどのような機能を担っているのか」を実験及び解析により解明するため、まず「OGR1間のキメラ受容体を利用して、金属の特異性を決定するOGR1のアミノ酸配列」を特定することを目的としている。 本年度は、ツメガエルOGR1間でのOGR1応答の比較解析を行った。ツメガエルには複数のOGR1ホモログが存在し、ホモログ間で微量金属に対する応答性が異なっている。そこでこれらホモログ間でのアミノ酸配列の比較を行ったところ、微量金属に応答するホモログには応答しないホモログにはないヒスチジンが存在することを見出した。そこでこのヒスチジンを欠失、または挿入した変異受容体を作成し、HEK細胞に各OGR1を発現させ、それらの活性化の程度をレポーターアッセイの測定系を用いて測定した。 その結果、欠失または挿入変異受容体では、微量金属刺激による応答が消失または出現した。この結果は、ある特定のヒスチジンが微量金属に対する応答性を決定している可能性を示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ツメガエル種内のOGR1間では、細胞外のヒスチジン残基の数や位置が微量金属刺激に対する活性化応答の違いをもたらしていることを示すことができており、順調に研究が進展しているものと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今回見いだされた特異的なヒスチジンが他の動物種でどのように保存されているのか、またそのヒスチジンの有無で微量金属刺激に対する活性化応答が異なるのかを明らかにする予定である。また微量金属に対する応答の有無がどのような生理、病態生理的作用と関連しているのかを調べる予定である。
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Causes of Carryover |
ツメガエルOGR1に存在する特定のヒスチジンが微量金属の感知に重要であることが判明したが、そのヒスチジンによる微量金属の感知が他の動物種においても共通に観察される現象かどうかを明らかにすること、また受容体活性化後のシグナル伝達経路を解析することができなかった。そのためこれらの実験に使用予定の費用を次年度に繰り越すこととした。
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