2022 Fiscal Year Research-status Report
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22K06083
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
二宮 賢介 大阪大学, 大学院生命機能研究科, 特任講師(常勤) (00437279)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 長鎖非コードRNA / ストレス応答 / 核内構造体 / RNA結合タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
熱ストレス後の霊長類細胞で発現する単純リピート型RNAであるHSATIII lncRNAは、配列の大半を占める5塩基リピート配列と、その中に散在する別のリピート配列の組み合わせで構成されている。私達は、HSATIIIがその単純なリピート配列によって少なくとも4つの分子機能を実現していることを見出してきた。本研究課題では、HSATIII lncRNAをモデルとして、単純なリピート配列型RNAの多機能性とその機能の切り替えメカニズムを解析し、それらに着目した霊長類細胞に特有の熱ストレス応答機構の解明を目指す。 現在までに、HSATIIIの4つの分子機能のうち、未発表の2つについて、分子生物学的、生化学的手法を駆使して、その実体や役割の解析を進め、論文投稿を準備している。 HSATIIIの配列と機能の連関の解明を目指すうえで課題となるのが、HSATIII RNAが単一のRNAではなく、上記の特徴で定義される配列・長さが様々なヘテロなRNAの集合であり、繰り返しに富む配列ゆえに全長配列が決定されておらず、そのため、従来の解析手法を適用させにくいという点である。そこで、HSATIIIの配列パターンを抽出し模倣した人工HSATIIIを複数パターン作成し、それらで解析を行い、それらの遺伝子産物の特性や機能の共通項・相違点を明らかにする構成的アプローチで,、HSATIIIの機能に迫ることを目指した。解析の結果、HSATIIIは幾つかの配列パターンに分類でき、各々に由来する発現産物は共通した特性を持つ一方で、それぞれに異なる結合タンパク質の選択制や細胞内局在を示し、異なる機能や役割を担う可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
HSATIIIの4つの機能のうち、未発表の2つについて解析を進め、現在、論文を作成中である。また、HSATIIIの配列パターンを抽出し模倣した人工HSATIIIRNAを用いた構成的なアプローチによって、HSATIII配列の多機能性の仕組みを明らかにしつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
HSATIIIの配列パターンと、機能や局在の関連性をさらに詳細に解析する。HSATIII遺伝子産物の機能の解析をさらに推し進める。
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Causes of Carryover |
これまで未解読であったリピート領域を含むヒトゲノム配列が解読され、2023年度初頭に公開されたことを受けて、HSATIIIの配列パターンの解析と人工化を優先して行ったため、当初、2023年度に実施予定だった実験の一部を2024年度に延期することになった。そのため、2023年度に計上していた予算を2024年度に繰り越す必要が生じた。
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Research Products
(4 results)