2022 Fiscal Year Research-status Report
Regulation of proteasome-mediated proteolysis by non-ubiquitin protein modification
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22K06140
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
伊野部 智由 富山大学, 学術研究部工学系, 准教授 (50568855)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | プロテアソーム / 細胞内タンパク質分解 / ユビキチン-プロテアソーム系 / 翻訳後修飾 / リン酸化 |
Outline of Annual Research Achievements |
ユビキチン-プロテアソームシステム(UPS)によるタンパク質分解の制御は、ユビキチン化システムだけにより行われると考えられてきたが、近年、標的タンパク質自身の物理化学的特性もプロテアソームによる分解に大きな影響を与えることがわかってきた。我々はユビキチン化修飾以外の翻訳後修飾もプロテアソームによるタンパク質分解を制御できるのではないかと考えた。 まずはリン酸化をうけるモデル基質タンパク質を用いてこの仮説の検証を行った。in vitroの精製タンパク質系でこのモデルタンパク質のプロテアソームによる分解を調べたところ、リン酸化により分解が阻害されることを確認した。しかしながら、このモデルタンパク質にリン酸化疑似電荷置換を施したところ、逆に分解が促進された。このことからプロテアソームによるタンパク質分解はリン酸化によって制御されるが、その制御メカニズムは単純な電荷変化だけでは説明できないことが示唆された。 また人工的なタンパク質修飾により分解を制御できるか検討した。モデル標的タンパク質に対して分解誘導性ペプチドを付加修飾させたところ、このモデルタンパク質はUPSにより分解されるようになった。このことから人工的なタンパク質分解制御において、標的タンパク質の修飾の制御は有効な手段であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
修飾による分解制御の生物学的意義の解明を目指す課題に遅延がある。
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Strategy for Future Research Activity |
1.「修飾による分解制御」の証明 酵母や哺乳類培養細胞内においてもリン酸化により分解の制御がなされるか検証する。さらに変異解析や生化学・構造生物学的手法を用いてリン酸化による分解制御メカニズムを解き明かす。またその他の修飾(アセチル化やメチル化、脂質化)の分解への寄与も調べる。 2. 修飾による分解制御の生物学的意義の解明 リン酸化により分解制御されている可能性が高いTau蛋白質やTDP43などの疾患原因蛋白質について、細胞内でリン酸化により分解が制御されるかを調べる。また修飾により分解制御される蛋白質のバイオインフォマティクス検索を行い、それらが修飾により分解制御されるか調べる。 3. 人工的修飾制御による分解制御方法の開発 分解誘導性ペプチドの付加修飾による分解制御に加えて、修飾・脱修飾酵素の制御分子や修飾サイトに対する細胞内抗体を使用して、リン酸化モデル蛋白質や細胞内蛋白質の人工的分解制御を試みる。
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Causes of Carryover |
遅延の見られた研究課題において、購入を予定していた試薬を購入しなかったため。 次年度の研究において当該試薬を購入する予定。
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