2022 Fiscal Year Research-status Report
ミトコンドリアからリソソームへの特異的な活性酸素シグナル伝達機構
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22K06205
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
橋爪 脩 京都大学, 工学研究科, 助教 (50755692)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | マグネシウム / 活性酸素種 / ミトコンドリア / リソソーム / TRPML / 酸性環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、細胞内のマグネシウムを排出するトランスポーターであるCNNMの抑制や、CNNMと結合することでマグネシウム排出活性を抑制する分子であるPRLの過剰発現によるリソソームエキソサイトーシス亢進のメカニズムを明らかにすることを目的としている。CNNMの抑制により細胞内でマグネシウが過剰蓄積し、それによりミトコンドリアで活性酸素種が過剰産生されるが、その活性酸素種がどのようにリソソームに影響するのか、オルガネラを超えた活性酸素種シグナル伝達が行われていることが考えられるが、その仕組みは明らかになっていない。 PRL過剰発現した細胞は細胞外が酸性化した環境に適応して増殖を行うようになり、この適応にリソソームエキソサイトーシスの亢進が重要であることを明らかにしている。そこで、PRLを過剰発現した細胞の酸性環境への適応にどのような遺伝子が重要なのかを明らかにするために、Crispr-Cas9 sgRNAライブラリーを用いたゲノムスワイドなスクリーニングを行った。PRL発現により酸性環境に適応した細胞は逆に塩基性条件での生存がコントロール細胞に比較して顕著に低下する。このため、塩基性条件で生存が回復する細胞を選択し、生き残った細胞に導入されているsgRNAを調べた。このスクリーニングにより46遺伝子がPRL発現による酸性環境への適応に関わる遺伝子の候補として挙がった。現在はこれらの遺伝子の中から、重要と思われるものや転写制御に関わるものをピックアップし、さらなる解析のためにノックアウト細胞の樹立を試みている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は所属研究室が大阪大学大阪大学微生物病研究所から京都大学工学研究科へ移動した。 この引っ越しに伴い、実験を行えない期間があったため計画より研究がやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
スクリーニングにより得られた候補遺伝子のノックアウト細胞を樹立し、各pH条件下での細胞増殖を調べることで、PRL発現による酸性環境への適応における各遺伝子の重要性を明らかにする。関与が明らかになった遺伝子については、リソソームエキソサイトーシス活性化への重要性についても調べ、酸性環境適応のメカニズムの解明を目指す。
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Causes of Carryover |
所属研究室にすでにある実験器具や実験手法を有効に用いることで、効率的に実験を行うことができたため、使用額を節約することができた。また、本年度は所属研究室が大阪大学微生物病研究所から京都大学工学研究科へ移ったため、引っ越しの準備などで実験を行えない期間があったため。未使用分は抗体や試薬の購入に加え、トランスクリプトーム解析に使用する。
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