2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K06248
|
Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
森田 仁 立教大学, 理学部, 助教 (20767701)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
|
Keywords | 形態形成 / 細胞移動 / 組織張力 |
Outline of Annual Research Achievements |
脊椎動物の心臓形成の初期において心臓前駆細胞が正中線に移動し融合するためのメカニズムには、いまだ不明な点が多い。本研究では、心臓前駆細胞が移動する際に周囲の細胞・組織の物理的な構造や特性が前駆細胞移動に与える影響を調べるため、脊椎動物の一種であるゼブラフィッシュをモデルとして用い、正中線部位の組織構造に変化を与える処理を加えて、心臓前駆細胞移動に対するその影響を解析する。まず、心臓前駆細胞が正中線に到達できない異常胚で正中線部位の組織間隙を広げる実験操作を加えた時に、正中線の構造がどのように変化するか組織学的実験によって観察した。その結果、正中線部位の構造には検出可能なほどの構造変化は生じていないことがわかった。しかしながら、その実験操作によって通常では正中線にあまり接近しない心臓前駆細胞が、より正中線側に移動しやすくなった。実験操作によって細胞の形態や挙動に変化が起こっている可能性を検証するため、ライブイメージングを行い、正中線の物理的な組織構造の変化による心臓前駆細胞への影響を解析している。 また、正中線の構造を分子的な側面から変化させる方法として、細胞・組織の形態変化や維持に重要な細胞骨格に着目した。これまで、細胞骨格制御分子を遺伝学的手法で阻害したり、薬剤処理によって細胞骨格の形成を阻害したりすることによって、正中線の構造及び心臓前駆細胞の移動にどのような変化が生じるか検証しているところである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
正中線の構造に変化を与える実験操作は問題なく行うことができ、その操作の影響を調べるための組織学的実験やライブイメージングにスムーズに移行することができている。
|
Strategy for Future Research Activity |
正中線の構造や細胞・組織の物理的特性に変化を与える他の方法を用いて、正中線部位の構造変化と心臓前駆細胞移動への影響を組織学的手法とライブイメージングによって解析する。その一つの方法として、細胞骨格を制御する分子を組織特異的に阻害あるいは強制発現させることによって、正中線部位の構造と細胞移動への影響を調べる。
|
Causes of Carryover |
当初よりも消耗品等の物品費への支出が少なかったため、次年度使用額が生じた。次年度使用額については、翌年度分と合わせて、主に試薬や抗体等の物品に使用する予定である。
|