2023 Fiscal Year Research-status Report
Research on the mechanism of reproductive communication between males and females via peptide sex pheromones
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22K06305
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Research Institution | Nippon Veterinary and Life Science University |
Principal Investigator |
中田 友明 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 准教授 (50549566)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 性フェロモン / ソデフリン / アイモリン / アカハライモリ / 生殖行動 / 両生類 |
Outline of Annual Research Achievements |
イモリをモデルに、雌雄両性の性フェロモン応答処理中枢神経系と、その内分泌学的調節機序の詳細を解析することを目的としている。本年は以下の4つの実験を行い、それぞれに一定の成果を得た。 1. 雄性フェロモンソデフリンのノックアウト(KO)動物の生殖障害を確認:ソデフリンペプチドのコード領域上流でのフレームシフトを誘発させることで作成した性フェロモンKO動物(F0)同士を交配させ、非モザイク性のF1動物を得る予定であったが、F0動物同士の交配実験によって得た卵(326個)が発生(卵割)することはなかった。一方で、チロシナーゼ遺伝子のKO動物のF0同士においては、同様の交配実験によって50%以上の卵が非モザイク性のアルビノ個体(F1)に発生したことから、雄性フェロモンソデフリンをKOした動物での配偶コミュニケーションが障害されたことで産卵された卵全てが未受精卵であった可能性が高いと判断した。 2. 今後の解析に必要なアルビノ個体の準備:上記の通りゲノム編集により作成したメラニンを持たないアルビノイモリのF1個体を得て、今後の蛍光シグナルでの解析を容易なものとした。 3. アフリカツメガエル遺伝子導入技術のアカハライモリへの応用:アフリカツメガエルで外来遺伝子の導入に適したゲノム領域(セーフハーバー)であるtgfbr2遺伝子座に対する外来遺伝子導入技術(NEXTrans: New and Easy-Effient Xenopus Transgenesis)をアカハライモリで実施した結果、アカライモリでもトランポザーゼ(Tol2)を利用した遺伝子導入よりも高効率に遺伝子導入が実施できると結論づけた。 4. 新規性フェロモンの探索:前年度成熟した雌個体の飼育水中に雄を求愛行動に駆り立てる物質が含まれることを見出したが、同物質が低分子量物質であり、凍結乾燥によって失活しないことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では昨年度に、生殖行動の解析に用いる遺伝子ノックアウト(KO)、もしくは導入動物の作成を着手し、雄の求愛行動を誘発する新規因子の存在を認めたが、今年度は、雄性フェロモン遺伝子KO動物を用いて、実際の生殖活動を観察し、新規の雄性行動誘発因子の物性に関してもいくつかの知見を得ることができた。 具体的には、性フェロモン遺伝子KO個体では極めて強い生殖障害があることを認めたことに加え、アフリカツメガエルで開発された技術の応用によってアカハライモリの遺伝子導入が簡便化できたこと、未知の求愛行動誘発因子が分子量10000以下の画分に含まれる比較的分子量の小さな分子(もしくは、比較的分子量の小さな複数の分子)で、凍結乾燥によってその(もしくは、それらの)活性が失われないことを確かめ、同物質の単離精製を今後行う予定となったことなどである。
以上のことから、研究はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度までに作成した性フェロモンの受容に関わる神経回路同定に利用可能な遺伝子改変動物の解析を行う。 すなわち、①神経活動依存的に発現する最初期遺伝子(Egr-1)プロモーター下流にレポータータンパク質(細胞ごとに異なる多色の蛍光タンパク質を発現するように構成されたBrainBowとよばれる導入遺伝子群)を配した動物を性成熟まで飼育し、同個体の性フェロモンの受容時や求愛時に発火する神経を可視化する(同レポーター蛍光シグナルが対象となる行動発現時のみの神経活動を記録するよう、薬剤によるCreリコンビナーゼ誘導後にレポータータンパク質の発現が誘起されるTet-onシステムを使用する)。②ソデフリンKOイモリでみられた生殖障害が、実際に成体雄で性フェロモンの生成がなされないことによる生殖コミュニケーション障害に起因するのか、非モザイク性のF1動物の表現型として、受精や卵割、発生の異常が起きているのかを、F0個体同士の人工受精や、野生型個体との交配実験、生殖行動の解析などを実施することで、明らかにする。
また、雌飼育水中に含まれる雄の求愛行動誘発因子の同定(飼育水中からの活性物質の精製)を行う予定である。
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Causes of Carryover |
本年度参加した学会の開催が、所属研究機関の所在する東京での開催であったため、学会発表に関わる旅費の使用がなかったなどの関係で若干の次年度使用額が生じた。 次年度使用額の2万円は、プラスチック製試験管・制限酵素などの消耗品の購入に当てる予定である。
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Research Products
(3 results)