2022 Fiscal Year Research-status Report
Role of the evolution of taste receptors in adaptation to the environment by fish
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22K06339
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
松村 秀一 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (30273535)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 味覚 / アユ / 食性 / 進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
アユは付着藻類食という独自の食性を示すため、近縁種と比べて味覚受容体遺伝子が大きく変化し、受容するアミノ酸が異なる可能性がある。アユは海と河川を行き来する両側回遊型であり、一生のうちに食性が変化する。そこで本研究は、アユの甘味うま味受容体を構成するTas1r1、Tas1r2、Tas1r3遺伝子の配列を決定し、それに基づいて遺伝子の機能解析、行動実験、そして成長段階における遺伝子発現量の変化とその調節機構を明らかにすることを通じて、アユの食性の遺伝学的な基盤を明らかにすることを目的とする。初年度は、漁協などを通じて研究に必要な稚魚と成魚の生体試料を入手した。mRNA分析をするために試料の一部はRNAlaterに入れて保存する一方、保存した試料の一部はcDNAへと逆転写した。mRNAの研究と並行してゲノムDNAの解析も進め、ゲノム上においてTas1r1~3遺伝子に相当すると考えられる部分の配列を決定することができた。決定した配列を公表されているドラフトゲノム配列等と合わせて詳細に決定した結果、エキソンとイントロンの位置に疑義が生じた。さらに、選択的スプライシングにより多様なmRNAが作られる結果、多様な味覚受容体タンパク質が構成されて、それが成長段階による味覚の変化に寄与している可能性も示唆された。そこで、リアルタイムPCRに進む前に、各成長段階において発現している全RNAをRNAseqにより配列決定する方針を決め、分析用試料の準備を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に計画した内容をほぼ実施できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
スプライシングにより発現しているmRNA(タンパク質)が多様化している可能性が示唆されたため、機能解析や発現量の比較に進む前に、スプライシングバリアントの全容解明を目指す。そのため、各成長段階において発現している全RNAをRNAseqによりまず配列決定し、解析する。また、稚魚と成魚に加え、食性が変化する途上の魚の生体試料の取得を目指す。
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