2023 Fiscal Year Research-status Report
マルチプロジェクション回路をつくる軸索側枝形成機構の解明
Project/Area Number |
22K06465
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Research Institution | 福井医療大学 |
Principal Investigator |
猪口 徳一 福井医療大学, 保健医療学部, 教授 (60509305)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 神経回路形成 / 軸索側枝 / マルチプロジェクション / 皮質脊髄路 / 脳弓線維 / 乳頭体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、これまでの研究で我々が独自に見出し、皮質脊髄路において軸索側枝出芽・投射に関与することを報告してきた細胞膜受容体群について、マルチプロジェクション回路を形成する他の脳内神経回路において共通に機能しているかについて解析を進めた。 生後2日目のマウス脳切片を用いたin situ hybridizationにおいて、papez回路を構成する脳弓線維の起始細胞が存在する海馬台と、脳弓線維からの側枝が投射する視床前核や乳頭体で上記細胞膜受容体群の一部が領域(あるいはサブ領域)特異的に発現していることを見出した。これら受容体群に着目し、マウス胎仔脳内での遺伝子操作法(in utero electroporation法)を用いて、海馬台神経細胞で上記細胞膜受容体の一つをノックダウンしたところ、脳弓線維のdefasciculationと乳頭体への側枝投射領域の拡大傾向が見られた。これらの結果については、学会にて発表し、現在、脳弓線維とその側枝が形成される様々な発生ステージでサンプル数を増やして統計解析を進めている。 一方、培養神経細胞や培養脳スライスを用いた解析については、これまで報告してきた、マルチプロジェクション回路形成細胞の内部因子(受容体や細胞骨格、ミトコンドリアなど)に加えて、外部因子(細胞外マトリックス、分泌因子など)について明らかとするために、側枝投射先の神経核や神経細胞集団を分離培養する手法の開発を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
遺伝子組換え実験安全管理委員会の立ち上げや、動物実験設備などの研究室のセットアップが概ね完了したことで、本研究課題について本年度に計画していた実験を実施し、成果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
脳弓線維におけるマルチプロジェクション回路の形成について、脳発生段階ごとのサンプルデータを増やして、統計解析を行い、皮質脊髄路における側枝形成機構との共通性に着目して研究を進める。また、同時に、側枝投射領域の神経細胞や神経組織の培養法を確立し、側枝形成に関与する外的因子について解析を進める。研究成果についてまとめ、学会発表と論文投稿を進めていく。
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Causes of Carryover |
年度末に参加した学会の旅費について当初予算を確保していたが、所属機関からの研究補助申請が認められたため当初より使用額が減少した。年度末ということもあり、無理に使い切ることはせず、次年度の消耗品費や人件費として有効に使用することとした。
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