2022 Fiscal Year Research-status Report
Investigation of dopamine sensory prediction error
Project/Area Number |
22K06484
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
網田 英敏 京都大学, ヒト行動進化研究センター, 特定助教 (80845321)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 神経科学 / 大脳基底核 / 報酬予測誤差 / ドーパミン / 霊長類 / 予測 / 価値 / ウイルスベクター |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究計画では、報酬予測誤差以外のドーパミン機能について調べるため、蛍光ドーパミンセンサー(dLight)を用いて霊長類脳からのドーパミン放出動態を計測することを目標としていた。 まず、感覚予測誤差を調べるための実験課題(視覚-聴覚対連合学習課題)を開発し、マカクザルに実施した。その後、視覚-聴覚対連合学習課題に関連する脳領域を同定するため、電気生理学的に大脳基底核・線条体のさまざまな領域から神経活動を記録した。その結果、尾状核において視覚刺激および聴覚刺激に対して顕著に応答する線条体領域を見つけた。つづいて、この脳領域に蛍光ドーパミンセンサーを発現させるためアデノ随伴ウイルスベクターを注入した。数か月後にベクターを注入した領域に光ファイバーを刺入し蛍光信号を計測したところ、ドーパミン信号を計測することができた。興味深いことに、この領域は視覚刺激に対しては強い応答を示すが、報酬そのものに対してはほとんど応答を示さなかった。さらに視覚-聴覚対連合学習課題を用いて視覚刺激と聴覚刺激に対するドーパミン応答を計測した。その結果、視覚刺激と対連合した聴覚刺激に対してはドーパミン応答が見られなかったが、対連合していない聴覚刺激を提示したときには強い応答が見られた。このことから、ドーパミンは従来言われていた報酬予測誤差だけでなく、報酬と結び付いていない感覚連合学習にも関与していることが示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、蛍光ドーパミンセンサー(dLight)を発現させ、ドーパミン信号を計測するところまでを本年度の研究計画としていた。計画通りにドーパミン信号を計測することができただけでなく、感覚予測誤差にかかわるドーパミン信号を尾状核において確認することができた。これは当初の計画以上に本研究課題を大きく前進させる成果となった。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き1頭目のサルからドーパミン信号を計測するとともに、2頭目のサルにおいても同様のドーパミン信号が記録できるかを調べる。さらに、複数の課題を用いて、聴覚刺激だけでなく、他の感覚刺激に対しても同様のドーパミン応答が見られるかを確かめる。
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Causes of Carryover |
購入予定の物品の予定納期が遅いため、次年度に購入することにしたため。 当初計画していた国際学会への参加を控えたため。
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Research Products
(2 results)