2022 Fiscal Year Research-status Report
ラマンプローブによる可逆的チアMichael反応の生細胞解析
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22K06495
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山越 博幸 東北大学, 薬学研究科, 助教 (30596599)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ラマンプローブ / ラマン分光 / チアMichael反応 / チオール / Michael受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究初年度は、主に水溶液を用いたチアMichael反応の解析に取り組んだ。2-メルカプトエタノールを用いた既知の可逆的チアMichael反応をモデルとして、不飽和カルボニル化合物とチオール付加生成物の比をプロトンNMRにより解析した。同反応をラマン解析した結果、その比はプロトンNMR解析と良い一致を示した。以上の結果より、筆者の企図したラマン解析法の妥当性を実証できた。続いて、不飽和カルボニル化合物を固定し、置換様式の異なる約10種類のチオール間の反応性の違いを検証した。直鎖状のチオールと比べ、β分岐チオールは立体障害のため生成物の安定性が乏しいことがわかった。一方で、15種の不飽和カルボニル化合物を合成し、2-メルカプトエタノールに対するMichael受容能を評価した。電子不足な置換基を導入するほど付加生成物の割合が増加した。以上の知見を元に、可逆的チアMichael反応の生細胞解析用のラマンプローブXを開発した。濁度評価により、同プローブがリン酸緩衝液にミリモル濃度で完全に溶解することを確認した。次に、ラマンプローブXの細胞溶解液中での応答性を評価した。チアMichael反応の平衡を不飽和カルボニル化合物へと移動させる外的刺激のモデルとして、チオール捕捉剤N-エチルマレイミド(NEM)の効果を調べた。ラマン解析の結果、NEMの添加後数分で不飽和カルボニル化合物の比率の上昇を確認できた。現在は、ラマンプローブXの生細胞解析を試みている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初設定した初年度の目標の通り、水溶液中での解析によりラマン解析法の妥当性を実証できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、開発したラマンプローブXの生細胞解析を行う。また、同手法を生物活性化合物解析へと展開させる。
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Causes of Carryover |
当初の計画よりも、次年度以降に消耗品(試薬の値上がり)が必要になった。また、昨年度の途中から機器の測定料金も値上がりした。以上より次年度の以降の支出の増加が予想され、経費のバランスを再考した。
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Research Products
(1 results)