2022 Fiscal Year Research-status Report
New Directions of Organoboron Catalysis
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22K06506
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
嶋田 修之 日本大学, 文理学部, 准教授 (00455601)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 有機ホウ素触媒反応 / ボロン酸 / ジケトピペラジン / ペプチド / アミド / 脱水縮合 / ジボロン酸無水物 / 触媒反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
ボロン酸は鈴木・宮浦クロスカップリング反応としてのカップリング試薬の他,さまざまな有機合成反応における金属試薬として広く利用されている。また,近年ではボロン酸構造を有する医薬品のほか,バイオセンサーが開発されている。さらには,共有結合生有機(MOF)の構成単位としても利用可能である。一方で,カルボン酸やアルコールと穏和な条件下反応し,脱水を伴う可逆的な共有結合を形成するボロン酸の化学的性質を触媒として利用する試みも行われている。それらは,主にカルボン酸の求電子活性化とジオール類の求核活性化に大別される。当研究室では,これまでに独自に開発したジボロン酸無水物DBAAgはヒドロキシカルボン酸のアミド化反応における高活性な触媒として機能することを明らかにしてきた。また,分子内にイミダゾール環を組込んだボロン酸誘導体が糖質の位置選択的分子変換における高活性な触媒として機能することを見出した。本研究は,こうした独自の知見に基づき,従来実現困難であった分子変換を実現するべく,新たな有機ホウ素触媒反応の開拓を目指すものである。 当研究室では,これまでにDBAAによるβ-ヒドロキシ-α-アミノ酸を基質とする触媒的ペプチド結合形成反応の開発に成功している。今回,DBAA触媒ペプチド合成とアミン窒素上の脱保護,続く分子内環化反応からなる連続反応によるヒドロキシメチル基含有ジケトピペラジンの簡便合成法の開発を目指し,研究に着手した。その結果,Boc基もしくはCbz基で保護されたβ-ヒドロキシ-α-アミノ酸由来のジケトピペラジンが中程度から高収率で得られることが明らかになった。本手法は中間体の精製を一切必要とせず,得られた粗生成物を洗浄するのみで純度の高いジケトピペラジンが得られることから,実用性の高い合成手法であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度となる令和4年度は,独自に開発したジボロン酸無水物DBAAを触媒として用いたペプチド結合形成反応を起点とした最小単位の環状ペプチドであるジケトピペラジンの迅速簡便合成手法の開発に成功した。また,本合成手法の応用研究の一環として二種の天然物の合成を達成した。以上のことから,本研究は順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は計画通りに推移していることから、令和5年度も引き続き、研究実施計画に従い、研究を推進する。当研究室のこれまでの知見により,独自に開発したジボロン酸無水物DBAAは,一般的な有機ホウ素触媒アミド化反応では必須となる脱水操作が不要であることが明らかになった。すなわち,脱水剤の添加や共沸脱水などの煩雑な操作を行うことなくカルボン酸とアミンとの脱水縮合が円滑に進行することを見出した。こうした知見に基づくならば,従来適用が困難であったアミン水溶液が脱水縮合アミド化反応のアミン基質として適用可能ではないかという着想の下,前例のないアンモニア水溶液を用いた脱水縮合アミド化反応の開発をめざす。本研究の進展によって,合成化学的に有用な第一級アミドの触媒的合成が実現可能になれば,生理活性アミノアルコール誘導体の迅速合成が達成できると期待される。
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Research Products
(9 results)