2022 Fiscal Year Annual Research Report
Npys化学を基盤としたトリプトファン残基選択的修飾法の開発と生体分子への応用
Project/Area Number |
22K06536
|
Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
田口 晃弘 東京薬科大学, 薬学部, 講師 (40707311)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 3-ニトロ-2-ピリジンスルフェニル / トリプトファン / ペプチド修飾 / タンパク質修飾 / 創薬化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、まず、3-ニトロ-2-スルフェン酸4-フルオロフェニルエステル(Npys-OPh(pF))を用いたトリプトファン(Trp)誘導体に対するスルフェニル化反応の検討を行った。初期検討として、Z-Trp-OH(1)の酢酸溶液に、Npys-OPh(pF)およびメチオニン誘導体(Boc-Met-OH)を室温にて各1当量添加し、HPLCにて経時的に反応を追跡した。その結果、1のNpys付加体に相当する分子量を示す3種のピーク(Peak 1-3)を確認した。その後Peak 2および3が若干減少し、Peak 1の漸増が観察された。単離したPeak 1-3の構造をNMRにより解析し、Peak 1は1のインドール環2位Npys付加体(2)、Peak 2および3はピロロインドリン体の立体異性体であることを明らかとした。さらに、本スルフェニル化の推定反応機構を考察した。これに基づいて、反応条件を検討した結果、反応の進行にはスルフィドの添加が必須であった。また、酸性条件下、反応温度を高くすると2位付加体(2)を高収率で得られることがわかった。一方で、本反応のアミノ酸に対する反応選択性を確認すべく、チロシン、グルタミン酸、リジン、セリンなどアミノ酸誘導体に対しても同様に反応を行ったが、Npys付加体の生成は確認されなかった。従って、本反応はTrpに対する選択性が高いことが示された。また、ペプチド化学修飾法としての応用を目的に、Trp残基含有モデルペプチドを用いた反応検討に着手した。その結果、ペプチドにおいてもNpys付加体の生成が確認された。
|