2023 Fiscal Year Research-status Report
新規作用機序の抗結核薬開発を志向したスルホニウム塩型ラムノシダーゼ阻害剤の創生
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22K06541
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
田辺 元三 近畿大学, 薬学部, 教授 (40217104)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | スルホニウム塩 / ガラクトシダーゼ阻害剤 / 抗結核薬 / Salacinol / Neosalacinol |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに、サラシアから単離されたチオ糖スルホニウム硫酸分子内塩 Salacinol およびその脱硫酸エステル体 Neosalacinol が、アカルボース、ボグリボースやミグリトールなどの医薬品に匹敵する強いα-グルコシダーゼ阻害能を示すことを明らかにしている。この研究成果は、Salacinol 型 ポリヒドロキシスルホニウム塩がα-グルコシダーゼときわめて高い親和性を示すことができることを、世界に先駆けて明らかにしたものであった。そこで、Salacinolや Neosalacinol のD-グルコースに相当するチオ糖部水酸基の立体化学を変更してα-グルコシダーゼ関連酵素群のガラクトシダーゼ阻害能もつスルホニウム塩の検討を行った。本年度は、昨年度にD-リボースから合成した D-ガラクトースに相当する骨格の5員環チオ糖を用いて数種のスルホニウム塩 (1) の合成に着手した。手始めに単純なアルキル基として 1a:C2H5, 1b: n-C3H7,1c: n-C4H9, 1d: n-C7H15, 1e: n-C10H21 をもつ化合物を合成し、その阻害活性能を評価した。その結果、1a-1c はほとんど阻害能を示さなかった。しかし、側鎖が長くなるにつれ阻害活性 (1d: 62% at 1mM, 1e: 33% at 1mM) が認められた。この結果は、本化合物群は酵素に取り込まれた場合、スルホニウム原子上の長い置換基との相互作用が関係していることが示唆しているが、本化合物群がもつ5員環チオ糖部との親和性が良好でない可能性があり、すべての化合物に強い活性が認められなかったと考えている。このように、本研究を通じて、ガラクトシダーゼ阻害剤の創製になる手掛かりが得られた。今後、5員環チオ糖を6員環チオ糖に変換したスルホニウム塩を設計し、さらに活性が増強した化合物を合成する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、ガラクトシダーゼとの親和性の高い化合物の創生である。今回合成した化合物の阻害活性は良好ではなかったが、スルホニウム原子上に長鎖アルキル基を有する化合物に活性が認められたことより、スルホニウム塩とガラクトシダーゼとの相互作用に関する新たな知見が得られた。この結果は残念であったが、本研究の目的の一部を達成できたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究結果から、長鎖アルキル基の導入が阻害活性発現に関わる要因であることは明らかである。しかし、本年度合成したスルホニウム塩の5員環チオ糖部と酵素との親和性が良好でない可能性がある。今後、5員環チオ糖を6員環チオ糖に変換したスルホニウム塩を設計し、さらに活性が増強した化合物を合成する予定である。
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Causes of Carryover |
材料用品費としていたものが、わずかに残った。本年度も材料用品費として使用する。
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Research Products
(1 results)