2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K06559
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
正田 卓司 国立医薬品食品衛生研究所, 有機化学部, 室長 (60435708)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | O結合型糖鎖 / 誘導体化試薬 / 蛍光 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】糖タンパク質バイオ医薬品の糖鎖には不均一性があり,培養方法や精製方法などの変動によりそのプロファイルに変化が生じるため,有効性及び安全性に大きな影響を与える可能性がある.したがって,バイオ医薬品の品質を確保するためには,糖鎖の解析が重要となる.糖タンパク質の糖鎖はAsn残基の側鎖に結合するN型糖鎖とSer/The残基の側鎖に結合するO型糖鎖に大別される.N結合型糖鎖は遊離酵素や誘導体化試薬を利用した解析方法が多数あるもの,O結合型糖鎖には手法が少なく,その生理機能も不明な点が多い.本研究では高感度検出が可能なO型糖鎖評価法の開発を目指し,蛍光性糖鎖標識試薬の開発を行った. 【方法】 PMPは強塩基,加熱条件下で糖の還元末端に2分子反応する.そこで,ピレンのエキシマー蛍光を利用することを考えた.エキシマー蛍光とは,2分子のピレンが近傍に存在するときに観察される,ピレン単体の蛍光よりも長波長の蛍光である.すなわち,PMPとピレンのエキシマー蛍光を組み合わせることで,未反応の試薬をモノマー蛍光で,糖と反応した試薬をエキシマー蛍光で検出できると考えた. 【結果・考察】 PMPとピレンをアルキル鎖でつないだMPPPをデザインし(Fig. 1),アルキル鎖長が異なる誘導体を複数合成した.NaOH存在下,70℃でGalNAcとMPPPを反応させ,LCMSで分析したところ目的生成物のピークを確認した.そのピークにはエキシマー蛍光があり,未反応の試薬のモノマー蛍光と明確に区別することができた.また,エキシマー蛍光の強度は,アルキル鎖長に依存した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
デザイン合成した化合物が期待通りの光学特性を有していることを明らかとした.またさらなる合成展開により,溶解性の改善も見られた.
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Strategy for Future Research Activity |
糖タンパク質を用いてO結合型糖鎖の誘導体化を試みる.
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Causes of Carryover |
保有済みの試薬等を活用した化合物デザインとし,試薬の購入を減らし,効率よく化合物を合成することができたため.
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