2023 Fiscal Year Research-status Report
クラミジアのスフィンゴミエリン合成酵素の性状解析を基盤とした抗クラミジア薬の創生
Project/Area Number |
22K06626
|
Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
熊谷 圭悟 国立感染症研究所, 細胞化学部, 主任研究官 (40443105)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | クラミジア・トラコマティス / 抗クラミジア薬 / スフィンゴミエリン合成酵素 / 細胞内寄生細菌 / 代謝標識 / 基質特異性 / セラミド / 阻害剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、既知のスフィンゴミエリン合成酵素とは進化的に大きく異なると予想されるクラミジア・トラコマティスのスフィンゴミエリン合成酵素を同定し、その機能を解析することを目的としている。セラミド様化合物(1R,3R)-HPA-12は強い抗クラミジア活性を示す化合物である。当該化合物はクラミジア・トラコマティスのスフィンゴミエリン合成活性を阻害するとともに、同活性によって水酸基にホスホコリンが付加される。当該化合物の複数の立体異性体を用いた解析により、スフィンゴミエリン合成阻害活性と抗クラミジア活性の間に相関関係が認められたことから、スフィンゴミエリン合成阻害が抗クラミジア活性の原因であると考えられている。(1R,3R)-HPA-12に対する結合因子を探索することによりクラミジア・トラコマティスのスフィンゴミエリン合成酵素を同定できる可能性がある。この計画において、当該化合物が標的酵素に結合したまま長く代謝されないことが好ましい。そこで、本年度は共同研究者に依頼して当該化合物の水酸基をメトキシ化してもらい、これらの化合物の抗クラミジア活性について検討を行った。(1R,3R)-HPA-12の2箇所の水酸基(1位と3位)のうち、どちらにホスホコリンが付加されるのかは分かっていないため、それぞれをメトキシ化した。メトキシ化により抗クラミジア活性は著しく減弱し、特に1位にメトキシ基を導入した場合に抗クラミジア活性の減少が強い傾向があった。メトキシ化された(1R,3R)-HPA-12はいずれもクラミジアのスフィンゴミエリン合成酵素に認識されていない可能性が高く、この化合物を用いて結合因子を探索する戦略は有効ではないと考えられた。一方、遺伝子探索を進めた結果、6個目の候補遺伝子が見つかってきた。この遺伝子の解析を行うため、現在クローニングを進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
様々な研究課題を並行して実施しなければならない状況にあり、本研究課題に投入できるエフォートが下がってきているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究課題の選定と集中によりエフォートの向上を図ることが最優先事項である。
|
Causes of Carryover |
進捗が遅れていることに伴い、前年度の支出額が減少したため。 次年度は標識化合物、クローニング試薬などの購入、学会参加費、老朽化したPCの買替え、論文投稿費などに使用する予定である。
|
Research Products
(1 results)