2022 Fiscal Year Research-status Report
SIGIRR/IL-18Rα複合体形成に基づいた新規抗炎症療法の分子基盤の確立
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22K06642
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Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
首藤 恵子 崇城大学, 薬学部, 講師 (70510692)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | SIGIRR / スプライスバリアント / 嚢胞性線維症(CF) / IL-37 / HDAC3 |
Outline of Annual Research Achievements |
SIGIRRは細胞外に一つのimmunoglobulinドメインを有するI型膜貫通タンパク質であり、抗炎症性サイトカインであるIL-37がリガンドとして作用することで、炎症応答に関与するToll様受容体やIL-1受容体の細胞内シグナル伝達を抑制する。このSIGIRRにはスプライスバリアントのΔ8-SIGIRRが存在し、慢性炎症を主病変とする嚢胞性線維症(CF)の気道上皮細胞において、Δ8-SIGIRRの発現増加により正常型(WT)-SIGIRRの細胞膜上への発現が抑制され、IL-37による抗炎症作用が消失する。 このIL-37-SIGIRRによる抗炎症経路の回復がCF炎症治療の一助となり得ることから、これまでにヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)3の阻害が特異的にWT-SIGIRRの発現を誘導し、かつその条件下ではIL-37による抗炎症作用が回復することをCF気道細胞株を用いて明らかにした。 そこで当該年度は、前述した一連の現象がCF患者由来初代培養気道上皮細胞でも同様に認められるのか、更にHDAC3阻害によるWT-SIGIRRの誘導メカニズムについて細胞毎に検討を行った。 その結果、HDAC3の特異的阻害剤RGFP966処理及びHDAC3ノックダウンにより、CF初代培養細胞においてWT-SIGIRRの発現が誘導され、その条件下でウイルス感染を模擬した合成二本鎖RNAのPoly(I:C)刺激を行うと、その刺激依存的なIL-8やGROα分泌量はIL-37により低下した。更に、CF初代培養細胞ではRGFP966によりWT-SIGIRRのmRNA発現が誘導されるのに対し、CF細胞株ではmRNA発現に変化はなく、そのタンパク質分解が抑制されていたことから、細胞間で共通してHDAC3阻害によるWT-SIGIRRの誘導は認められるものの、そのメカニズムは細胞毎に異なることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マウスを使用した in vivoでの評価を行うにあたり、予備検討としてマウス肺上皮細胞株であるMLE細胞を用いたHDAC3阻害によるWT-SIGIRR発現誘導とその条件下でのIL-37の抗炎症作用の改善は確認済みであるが、実際のマウスにRGFP966を投与する際の溶媒や方法等の条件検討に時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト細胞株や初代培養細胞を用いた検討と並行してCFモデルマウスを用いた in vivoでの評価を行い、CFモデルマウスの呼吸器炎症がIL37-SIGIRR経路で改善するのか明らかにする。 更にIL-37によるSIGIRRを介した抗炎症作用には、IL-37依存的にSIGIRRがIL-18Rαとヘテロダイマー形成することが必要であるため、IL-37を模擬し活性化する新規SIGIRR/IL-18Rα形成促進薬のスクリーニ ング評価系の確立を目指す。
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