2023 Fiscal Year Research-status Report
Development of antiamoebic compounds based on the strategy for introducing fluorine into fumagillin
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22K06660
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
住井 裕司 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10612848)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 抗赤痢アメーバ活性 / フマギリン / 構造活性相関 / フッ素導入戦略 / スピロエポキシド / 細胞毒性 / オバリシン |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画に従い,R4年度に引き続いてフマギリンをリード化合物とした誘導体合成を行い,抗赤痢アメーバ活性が強く,細胞毒性の低い創薬候補化合物の探索を行った。R4年度で開発したTNP-470(武田薬品工業)およびBeloranib (Zafgen)をモチーフとした誘導体の化学安定性や種選択性の向上を目的として,R4年度に開発した誘導体のスピロエポキシ基を開環した化合物の合成を行った。44種の誘導体を合成して生物活性評価を行った結果,スピロエポキシド開環体はいずれも非開環体に比べて抗赤痢アメーバ活性及び種特異性が低下することが明らかになった。また,フマギリンのスピロエポキシドにメチオニンアミノペプチダーゼ2が結合すると考えられているが,スピロエポキシド開環型では同様の結合様式を取れないにもかかわらず弱い抗赤痢アメーバ活性をもつ誘導体があるため,フマギリンは抗赤痢アメーバ活性に対して異なる作用機序をもつ可能性が示唆された。 一方,フマギロールの水酸基を酸化した後,カルボニル基を足掛かりとして,炭素鎖の伸長やフッ素を導入した誘導体を合成して活性を評価した結果,抗赤痢アメーバ活性は消失することが明らかになった。そこで,ベンゾカルバメート構造のTNP-470型をモチーフにして,カルバメート構造をもつ誘導体を8種合成して活性試験を評価した結果,フルオロベンジル構造をもつ誘導体が良好な抗赤痢アメーバ活性をもつことが明らかになった。 また,R4年度に良好な活性を示したオバリシン誘導体についてin vivo試験及び体内動態の評価を行った結果,in vivoでも赤痢アメーバ活性をもつことが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
R5年度は,R4年度で得られた構造活性相関の情報を基に,更なる構造活性相関の展開と安定性の向上に向けた誘導体開発を行い,約60種の誘導体を合成した。スピロエポキシド部位の構造情報や4位水酸基の側鎖に関する構造活性相関情報を得ることができており,変換可能部位や導入構造の絞り込みができ始めている。さらにinvivo試験の実施によって誘導体の効果を実証できており,医薬品候補化合物としての期待値を上げることに成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床試験を見据えるとスピロエポキシド構造の化学的不安定性が課題としてあげられる。そこでこれまで見出だした構造活性相関情報を基に,スピロエポキシド構造周辺を更に変換する誘導体開発を行い,スピロエポキシド構造をもたなくても同等以上の抗赤痢アメーバ活性をもつ誘導体の探索を行う。また体内動態を考慮して脂溶性を下げる誘導体の開発も実施する。水酸基を足掛かりに,極性官能基をもつベンゾカルバメート型,桂皮酸型,カルバメート型誘導体合成を展開して,良好な抗赤痢アメーバ活性とMetAP2に対する種選択性をもつ誘導体を探索する。またフマギリンの構造活性相関を基にオバリシン型誘導体の合成も実施する。良好な活性をもつ誘導体についてはin vivo試験と体内動態解析を実施する。
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Causes of Carryover |
当該研究課題に関連する学会参加がなかったことおよび機器使用料が想定よりも少なかったため
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