2022 Fiscal Year Research-status Report
Research on functional enhancement of medicinal plants using allelochemicals derived from Asteraceae plants
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22K06672
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
田中 謙 立命館大学, 薬学部, 教授 (60418689)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 化学生態学 |
Outline of Annual Research Achievements |
キク科のセイタカアワダチソウに含まれる植物間相互作用物質について網羅的な単離・構造解析研究を行い、3種の新化合物を含む8種のポリアセチレン化合物および5種の新化合物を含む15種のクレロダンジテルペン類を単離、構造決定した。このうち4種のクレロダンジテルペン類新化合物は、天然物として非常に稀な立体構造であるCT型のent-neo-クレロダンジテルペンであった。さらに、単離したポリアセチレン化合物の化学分類学的特性を明らかにし、キク科におけるポリアセチレン化合物の分布について体系化した。また、13C-NMRのケミカルシフトパターンにより、クレロダンジテルペンの相対立体配置を決定するための新な方法を確立した。 植物間相互作用を担う化合物の候補として、これまでに単離した物質は、いずれも脂溶性が高く、カンゾウの無菌培養系に添加する際に溶媒を用いなければならい。今年度は、代謝変動を解析するための実験条件の確立を目的として、種々の微量の溶媒をカンゾウの無菌培養系に添加し、次世代シーケンサーを用いたRNA-Seq解析を行って、溶媒の影響による代謝変動を解析した。その結果、溶媒の種類によっては、一定濃度以上で細胞死が誘導される以前に、グリチルリチンなどの二次代謝物の生成能が増加することを見出した。 代謝調節活性の解析実験に使用するカンゾウの無菌培養系に加えて、遺伝子解析の効率性・再現性を確保するため、グリチルリチン産生能を有するカルス培養系を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画どおり、セイタカアワダチソウに含まれる植物間相互作用物質の網羅的な単離・構造解析研究を行い、今後の実験の遂行に必要な量の化合物を得た。さらに、単離した化合物をカンゾウの無菌培養系に添加し、その影響による代謝変動を解析する実験条件の確立を目的として、種々の微量の有機溶媒を添加して栽培した無菌培養カンゾウについて次世代シーケンサーを用いたRNA-Seq解析を行った。その結果をもとに、今後の実験の遂行に必要な条件を確立した。
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Strategy for Future Research Activity |
単離したセイタカアワダチソウに含まれるポリアセチレン化合物及びセスキテルペンやジテルペン類をカンゾウの無菌培養系または新たに確立したグリチルリチン産生能を有するカルス培養系に添加し培養する。得られた植物体またはカルスについて次世代シーケンサーによるRNA-Seq解析を行って、キク科由来の化合物の影響によるカンゾウの遺伝子発現を網羅的に解析し、その作用機構を明らかにする。さらに、ヒメジョン、ハルジオン、オニノゲシなどからC10-、C13-、C14-及びC17-ポリアセチレン類を単離し、それらの化合物の機能性を明らかにする。
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