2022 Fiscal Year Research-status Report
ダイヤモンド電極法を用いた血中薬物濃度測定に基づくパゾパニブ服用患者の観察研究
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22K06695
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
齋木 琢郎 新潟大学, 医歯学総合病院, 医員 (90865057)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西條 康夫 新潟大学, 医歯学系, 教授 (10270828)
日比野 浩 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (70314317)
緒方 元気 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 特任講師 (80452829)
栄長 泰明 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (00322066)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ダイヤモンド電極 / 電気化学測定 / パゾパニブ / 分子標的薬 / 血中薬物濃度 / TDM |
Outline of Annual Research Achievements |
ダイヤモンド電極を用いた迅速・簡便な血中薬物濃度測定法の開発に向け,経口分子標的薬パゾパニブを題材とした研究を進めた.研究開始段階で,血漿に混和した同薬剤が本手法により測定可能であることは確認されていたため,動物血漿を用いて,電位プロトコルやサンプル処理法など測定法の最適化を図った.次に,この手法を用いて,動物生体内の血漿薬物濃度の測定を行った.具体的には,薬剤をラットに内服させ,このラットから24時間以内に複数回血液を採取し,その薬物濃度を測定する実験を行った.ここでダイヤモンド電極を用いて得られた結果は,従来の標準であるLC-MS/MS法による測定結果との比較により,その妥当性が検証された.また,臨床研究として,同薬剤で治療された軟部肉腫患者から血液サンプルを採取した.すでに採取・保管されていた9名の患者サンプルについて,薬剤内服ラットでの実験と同様に,本手法,LC-MS/MS法によって血漿薬物濃度測定を行い,結果の妥当性を確認した. 動物実験,臨床患者サンプルを用いた実験のいずれにおいても,ダイヤモンド電極による血漿薬物濃度測定結果と従来法との誤差は,血糖測定計など市販の医療機器の基準と照らし合わせて妥当な範囲内であった.これらの結果から,ダイヤモンド電極を用いたパゾパニブ血漿薬物濃度の電気化学的測定は有用である可能性があると考えられたため,論文による報告を目指し,投稿作業を進めた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第一の題材であるパゾパニブについて,血中薬物濃度測定法の提示,動物実験,臨床研究(臨床患者検体の採取)など,当初想定していた研究をひと通り遂行した.本年度でアクセプトに至っていないが,論文報告に向けた投稿作業を進んでいるため,研究はおおむね順調に進行していると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
第一の題材であるパゾパニブについて,投稿作業を進め,論文報告を達成する. ダイヤモンド電極を用いた本手法は,パゾパニブのみならずさまざまな種類の薬剤の血中濃度測定に適応可能と考える.本臨床課題では,そのうちパゾパニブ以外のがん分子標的薬への適応可能性について研究を進めることを目的としている.これらの薬剤では,より高い測定感度の達成,代謝物との測り分けなどが必要となる可能性がある.パゾパニブでの経験を活かし,測定法の最適化,動物実験,臨床患者検体での検証などを各薬剤ごとに進める. また,本手法による血症薬物濃度測定は臨床上も有用である可能性があり,デバイスの提案など実用化に向けた研究も進めていきたい.
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Causes of Carryover |
当初,今年度中の論文報告を目指し,投稿作業を進めてきたが,採択は次年度へずれ込むこととなった.これにともない,論文投稿料として見積もっていた金額についても,次年度へ繰り越すこととなった.先に述べた実験・研究にかかる支出のほか,これらの繰り越しが生じたため,次年度使用額が生じることとなった.
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