2023 Fiscal Year Research-status Report
多重がん治療の新戦略:免疫チェックポイント阻害剤とオートファジー誘導剤の併用
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22K06703
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Research Institution | Hokkaido University of Science |
Principal Investigator |
佐藤 恵亮 北海道科学大学, 薬学部, 講師 (60733946)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | オートファジー / アポトーシス / 肺がん |
Outline of Annual Research Achievements |
多重がんは、原発性のがんが複数箇所に発生する疾患であり、高齢者やがん治療の発展に伴い、その患者数は世界的に増加している。本研究の目的は、免疫チェックポイント阻害剤とオートファジーを利用することで、多重がんに効果的で副作用が少ない抗がん剤治療法を見出すことである。 2023年度は、肺がん細胞を用い、ヒト白血球細胞MOLT4に対するオートファジーの影響について検討した。MOLT4において、オートファジー阻害剤であるクロロキンにより免疫チェックポイント分子PD1発現量の増大が認められた。一方、オートファジー誘導剤であるラパマイシンは、MOLT4におけるPD1を減少させた。T細胞における免疫チェックポイント分子発現量を変動させることで白血球による抗がん作用を増大させることができると考えた。そこで、複数の肺がん細胞におけるPD-L1発現量の違いを検討した。ヒト肺がん細胞であるA549、H1975、PC9、II18におけるPD-L1の発現量を比較したところ、H1975において最もPD-L1発現量が多いことが明らかになったため、H1975を使用し実験を進めた。次に、肺がん細胞に対するMOLT4とオートファジー阻害剤およびオートファジー誘導剤の影響について検討した。PD-L1発現量の多いH1975において、MOLT4により細胞生存率の低下が認められ、アポトーシスの指標であるcleaved caspase3発現量の増大が認められた。さらに、オートファジー阻害剤であるクロロキンによりMOLT4によるcleaved caspase3発現量の増大が促進された。一方、オートファジー誘導剤であるラパマイシンによりMOLT4による細胞傷害が抑制された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予想していた結果とは異なる結果が得られているが、別なアプローチによって期待していた結果が得られているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、肺がん以外のがん細胞に対する白血球細胞による抗がん効果およびオートファジーの影響についても評価する。
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Causes of Carryover |
試薬が高騰したため、mRNAの測定に使用する試薬を変更した。そのため、次年度使用額が生じた。追加実験等が生じた場合に使用する。
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