2022 Fiscal Year Research-status Report
Direct reprogramming of somatic cells by epithelial-mesenchymal transition
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22K06808
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
本橋 力 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 講師 (40334932)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ダイレクトリプログラミング / 上皮-間葉系転換 / EMT / 間葉系細胞 / 乳腺上皮細胞 / エピジェネティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度においては、以下の2つの研究を行った。 研究1 EMT現象によるゲノムのエピジェネティック状態変化の解析:EMTが起きるとゲノムにエピジェネティック変化が生じ、それにともなって転写の活性が高いクロマチン状態に変化するのではないかと考え、マウス乳腺上皮細胞NMuMGを用いてその検証を行った。NMuMG細胞にEMT関連転写因子(4EMT-TFs)をレトロウィルスにより感染・過剰発現させてEMTを起こし、経日的に細胞をサンプリングし、Histone H3の9番目のLysのTri-Methylationに対する抗体(抗H3K9me3)とHeterochromatin associated proteins 1γ(HP1γ)に対する抗体(抗HP1γ)で免疫染色してクロマチン状態を解析した。一般に転写の活性が高いユークロマチン状態ではH3K9のTri-MethylationとHP1γは減じているといわれているが、EMTの前後でNMuMG細胞の核内の抗H3K9me3陽性率と抗HP1γ陽性率に違いは見られず、両者が減じている証拠は得られなかった。最近では、転写の活性が高いユークロマチン状態でも両者にはあまり変化はないという報告もあるため、違う指標も組み合わせてクロマチン状態の比較解析を行う予定である。 研究2 EMT現象を利用したダイレクトリプログラミング法の検討:我々はこれまで神経堤細胞へのダイレクトリプログラミングの研究を通して、EMT現象が細胞にダイレクトリプログラミングされやすい環境を提供している可能性について検討してきた。本年度は、このことを乳腺上皮細胞の心筋細胞へのダイレクトリプログラミングで検証することを計画し、心筋細胞へのダイレクトリプログラミングに必要な転写因子のレトロウィルスベクターの構築と感染条件の検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
EMTによるクロマチン状態変化の解析では、免疫染色の条件設定に予定以上の時間がかかってしまった。EMT現象を利用した心筋細胞へのダイレクトリプログラミング法の検討では、導入する転写因子のレトロウィルス感染法や転換に用いる細胞培養法の検討に時間がかかっている。
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Strategy for Future Research Activity |
クロマチン状態の変化を容易に判定できる免疫染色による解析法の検討を引き続き行い、EMTの前後でのオープンクロマチン状態の解析の簡素化をめざす。また同時に転写調節域のCpGアイランド(CGI)のメチル化の変化を網羅的に解析できるReduced Representation Bisulfite Sequencing(RRBS)法の準備も行い、多くの遺伝子のCGIでEMT後に低メチル化している証拠を見つけ出す。 EMT現象を利用した心筋細胞へのダイレクトリプログラミング法の応用検討では、心筋細胞のマスター遺伝子の感染条件を詰め、転換・培養条件、EMT発生のタイミング等を検討し、具体的に直接転換に着手する。
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Causes of Carryover |
実験計画の遅延により、令和4年度の経費を次年度に使用する必要が生じた。経費は繰越分を合わせて以下に示す項目に充てる予定である。 エピジェネティック解析のための各種抗体・試薬、フローサイトメーター解析のための各種蛍光抗体、遺伝子発現解析試薬、遺伝子発現制御システム・遺伝子導入関連物品(遺伝子導入試薬、電気的遺伝子導入機器、レトロウィルス発現関連試薬)などの購入。また、各種細胞培養のために必要な培養関連試薬、培地、実験用マウスなど動物飼育費用や受託解析等も計上の予定。
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