2023 Fiscal Year Research-status Report
miR-29-3p発現上昇を介するシスプラチン誘発筋萎縮の多角的解析
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22K06869
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Research Institution | Hoshi University |
Principal Investigator |
酒井 寛泰 星薬科大学, 薬学部, 准教授 (00328923)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | シスプラチン / 筋萎縮 / miRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者はこれまでに、多くのがん腫治療に使用されるシスプラチンが骨格筋萎縮を引き起こし、がん患者の予後不良因子となることを示唆したが、その発症機序は十分に理解されておらず、解明すべき課題である。申請者らは先行研究 (15K18880 および18K06706) において、シスプラチンの筋萎縮発症時の骨格筋において IGF-1 の発現量が著明に減少し、さらにIGF-1 をターゲットとするmiR-29a-3a, miR-29b-3pおよびmiR-29c-3p (miR-29-3p family) が有意に発現上昇することを見いだした。しかし、これらの発現制御が、筋萎縮の発症機序において因果関係で結ばれるか否かについては未だ明らかになっておらず、昨年度はそれらのターゲットである extracellular matrix の構成成分である procollagen や elastin などの遺伝子発現をシスプラチン投与マウスおよびシスプラチン処置のC2C12筋管細胞で検討し、有意な発現抑制が引き起こされていることを明らかにした。2023年度は、miR-29-3p family の他のターゲットである Pgc-1alpha とその下流発現調節されている Fndc5/Irisin の遺伝子発現をシスプラチン投与マウスおよびシスプラチン処置のC2C12筋管細胞で検討し、有意な発現抑制が引き起こされていることを明らかにした。したがって、種々のmiR-29-3p family のターゲットもシスプラチンによって発現がコントロールされている可能性が示唆され、シスプラチンによる筋萎縮時のmiR-29-3p familyの発現上昇の機能的意義や病態生理学的意義がさらに高まった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
シスプラチン誘発筋萎縮時のmiR-29-3p familyの発現上昇の意義をextracellular matrix の構成成分や Pgc-1alpha などの発現低下により見出しているが、当初の計画であるmiR-29a-3a, miR-29b-3pおよびmiR-29c-3p の miRNA inhibitor およびmiRNA mimicを transfection Reagent を使用して細胞へ導入し、シスプラチン処置後、筋管細胞の直径を比較検討する予定であり、未だ効率よくtransfectionできる条件が確立できていないため、やや遅れている。シスプラチン誘発筋萎縮時のmiR-29-3p familyの発現上昇の意義を他の検討により見出している。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度の結果より、シスプラチン投与マウスの骨格筋においてmiR-29-3p family のターゲットの1つであるPgc-1alpha の下流で発現調節されている Fndc5/Irisin の発現まで低下していることを明らかにし、認知機能に影響を与えることが知られている 血中 Irisin の濃度まで低下していた。このIrisin の血中濃度低下はシスプラチン投与患者のケモブレインの発症に関与している可能性がある。今後、C2C12筋管細胞へのmiRNA inhibitor の処置スケジュールが確立次第、同時にmiR-29a-3a, miR-29b-3pおよびmiR-29c-3pのそれぞれ mRNA mimic およびコントロールを transfection Reagent にて細胞へ導入し、シスプラチン処置後、筋管細胞の直径を比較検討すると同時にmiR-29a-3a, miR-29b-3pおよびmiR-29c-3p ターゲットの発現変動を解析する予定である。その結果を踏まえて、miRNA inhibitor (Alexa Fluor 647 dye で標識) を、Invivofectamine を使用してマウスの尾静脈に投与し、我々が用いている常法によってシスプラチンを 4 日間連日投与し最終投与の 24 時間後に認知機能、握力、四肢筋力の測定、血液および各種骨格筋を採取した後、骨格筋重量測定を行い、シスプラチン投与開始から骨格筋摘出日までの体重、摂食量、摂水量、筋力および認知機能をモニタリングする予定である。
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Causes of Carryover |
年度末に予定してなかった緊急性のある学事や会議が続いたため、次年度使用額が生じてしまった。 これらの次年度使用額は、2023年度に遂行予定していた遺伝子解析に必要な RT 酵素、プライマーおよびSYBR green Master Mix の購入に用いる予定である。
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Research Products
(7 results)
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[Presentation] シスプラチン誘発筋萎縮時に遺伝子発現変化する E3 ubiquitin ligases 関連因子の探索2024
Author(s)
染谷柚杏, 千種佑也, 曽我眞希, 南里駿仁, 木山美穂, 荻原隆行, 宮内優, 千葉義彦, 今理紗子, 五十嵐信智, 細江智夫, 酒井寛泰
Organizer
日本薬学会第144年会
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[Presentation] シスプラチン誘発筋萎縮時の骨格筋 Fndc5/Irisin の発現低下2024
Author(s)
荻原隆行, 宮内優, 曽我眞希, 南里駿仁, 木山美穂, 佐藤健, 今理紗子, 五十嵐信智, 千葉義彦, 細江智夫, 酒井寛泰
Organizer
日本薬学会第144年会