2022 Fiscal Year Research-status Report
細胞内輸送関連分子により制御される炎症性サイトカイン産生誘導の新規分子機構の解明
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22K07006
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
佐々木 泉 和歌山県立医科大学, 先端医学研究所, 講師 (80611037)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 腹腔マクロファージ / 小胞体ストレス応答 / インフラマソーム / 炎症性サイトカインIL-1β |
Outline of Annual Research Achievements |
コレラ毒素(Cholera toxin: CT)は、下痢などの毒性がある一方で、免疫増強作用を有することが知られている。細胞株を用いた研究により、CTによる毒性の分子機序については理解が進んでいるが、免疫増強活性の作用機序については不明な部分が多く、特に生体内におけるCTの作用は不明な部分が多い。我々は、これまでCTのBサブユニット(CTB)がマウスの腹腔に常在するマクロファージ(以後、腹腔マクロファージ)に作用し、リポ多糖と協調して炎症性サイトカインIL-1βの産生を誘導すること、この誘導に細胞膜上糖脂質ガングリオシドGM1(以後、GM1)が必須であることを明らかにしてきた(Int Immunol. 2019)。この分子機序を解析する過程で、この誘導に小胞体-ゴルジ体間輸送関連分子が関与することを見出した。本研究ではこの新規IL-1β産生誘導機構の分子機序と、CTによる免疫アジュバント活性における小胞体-ゴルジ体間輸送関連分子の機能的意義を解明する。 令和4年度では、まず、小胞体関連分子の関与を検討した。各種阻害剤や遺伝子改変マウスを用いた検討により、腹腔マクロファージにおいてCTがGM1との結合を介して細胞内に侵入し、小胞体に蓄積されること、この時小胞体ストレスセンサーIRE1αが活性化されることを見出した。また、IRE1αの活性化がCTによるIL-1β産生誘導に関与することも明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、CTによるIL-1β産生誘導や免疫アジュバント活性における小胞体-ゴルジ体間輸送関連分子の機能的意義を解明することである。令和4年度では、遺伝子改変マウスを用いて、CTによるIL-1β産生誘導における小胞体関連分子の関与の解明を目指していた。当初の計画通り、遺伝子改変マウスを用いて小胞体ストレスセンサーIRE1αがCTによるIL-1β産生誘導に関与することを明らかにすることができた。以上の観点から、本研究はおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度では、小胞体の上流の細胞内輸送関連分子の関与を検討する。CTはGM1を介して細胞内侵入後、ゴルジ体を経由して小胞体に到達することが知られている。そこで、ゴルジ体-小胞体間輸送経路(逆行輸送経路)に関与する機能分子に焦点を当て、阻害剤や遺伝子欠損マウスを用いて候補機能分子がCTの細胞内輸送にどのように関与しているか、CTによるIL-1β産生誘導に関与するかどうかなどを検討する。 さらに、CT以外の微生物由来毒素についても同様に検討し、小胞体-ゴルジ体間輸送関連分子の新規機能的意義を明らかにする。
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[Presentation] Activation of type I Interferon signaling in dendritic cells and T cells of the mouse model of COPA syndrome2022
Author(s)
Takashi Kato, Ryota Yamasaki, Naoko Wakaki-Nishiyama, Izumi Sasaki, Shiori Kaji, Kohei Murakami, Hiroaki Hemmi, Yoshitaka Honda, Kazushi Izawa, Yoshiro Otsuki, Tadashi Matsubayashi, Ryuta Nishikomori, Tsuneyasu Kaisho
Organizer
第29回日本免疫毒性学会学術年会
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