2023 Fiscal Year Research-status Report
表皮および樹状細胞間のがん微小環境におけるクロストーク解析
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22K07012
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Research Institution | Chiba Cancer Center (Research Institute) |
Principal Investigator |
奥村 和弘 千葉県がんセンター(研究所), がんゲノムセンター 実験動物研究部, 研究員 (80584680)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若林 雄一 千葉県がんセンター(研究所), がんゲノムセンター 実験動物研究部, 部長 (40303119)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | Pak1 / DMBA/TPA / コンディショナルKOマウス |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請は皮膚発がん感受性に寄与する表皮細胞(KC)とランゲルハンス細胞(LC)を含めた樹状細胞(DC)間の相互作用の遺伝学的解析をPak1遺伝子に焦点を当て実施し、マウス系統間に発がん感受性に差が生じる機構を明らかにすることを目的とした。当該年度はCRISPR/Cas9法によってPak1のPak1fl/flコンディショナルKO(cKO)マウスの作製をおこなった。樹状細胞(DC)特異的Cre(Cd11cCre)マウスおよびKC細胞特異的Cre(K14CreER)マウスとPak1fl/flマウスを交配し、それぞれのcKOマウスを作製し、DMBA/TPA多段階皮膚発がん実験を実施した。その結果、K14陽性細胞およびCd11c陽性細胞の両者においてPak1の欠損が腫瘍抑制に繋がることが明らかとなった。特にCd11cCreによるPak1欠損マウスのホモ個体は、これまでに報告されたことのない強力な腫瘍抑制効果があることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ計画通りに進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
Cd11cCreによるPak1欠損マウスのホモ個体は、これまでに報告されたことのない強力な腫瘍抑制効果があることが判明した。Cd11c陽性細胞は単核貪食細胞系(MNP)に発現することから、Pak1がMNPにおいて機能し腫瘍発症を促進するメカニズムがあることが示唆された。しかしながら、MNPは分類が非常に難しい細胞群であることから、今後は詳細な細胞表面マーカーによるフローサイトメトリー解析や他のMNP関連Creマウスなどを用いて、腫瘍発症におけるPak1標的細胞の同定を目指す。また予想よりもCd11cCre-Pak1cKO、マウスの腫瘍抑制効果が高く、発がん誘導腫瘍がほとんど発症ないため、今後は腫瘍微小環境の解析よりも発がん初期の炎症病態解析を中心に行う方針である。
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Causes of Carryover |
想定よりも実験内容を変更したため、次年度使用額が生じた。次年度の実験計画を修正し使用する予定である。
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