2023 Fiscal Year Research-status Report
Application study for quantitative metabarcoding analyses of intestinal protozoan flora
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22K07039
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
所 正治 金沢大学, 医学系, 教授 (30338024)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 腸管寄生原虫 / 腸内原虫叢 / 次世代シーケンサー / メタバーコーディング / アンプリコンシーケンス解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
腸内微生物層を対象としたメタゲノム解析ではコマーシャルベースで利用が可能な18S rRNA遺伝子座をターゲットとしたアンプリコン解析があるが、広く活用されているこのような真核生物ターゲットのプライマー領域はヒトの腸管から検出されうる20種を超える腸管寄生原虫の遺伝子配列にマッチしていない。このため、腸内微生物叢を網羅的に評価しようとしても、このような既存のメタゲノム解析系では、腸管寄生原虫が検出されない。 本研究では、このような問題点を克服するために、マイナー腸管寄生原虫を含む、アメーバ類、鞭毛虫類、繊毛虫、コクシジウム類(アピコンプレクサ)等のレファレンスシークエンスの整備を進め、アライメントによる共通配列部分の探索により、腸管寄生原虫の共通配列部分をターゲットとしたプライマーを設計、NGSによる解析を試みている。 本年度に実施したNGSトライアル解析では、いくつかの課題が明らかとなった。具体的には、糞便からの精製DNAをテンプレートとした次世代シーケンサーをもちいたアンプリコン解析では、食物由来と考えられるシークエンスリードが全リード数の大部分を占め、また、原虫のDNA量には、おそらく腸管内での寄生様体の違いによって種によって大きな差があり、特に腸管内での量が少ない原虫では、PCRによる特異的増幅なしでは検出自体が困難とみられた。 以上の結果を踏まえ、プライマー設計に腸管寄生原虫に対する一定の特異性を確保し、かつ、ネステッドPCRなどを活用した原虫DNAの特異的増幅を PCR段階で実現する新たなプライマー設計を現在、進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
次世代シーケンサーアンプリコン解析の実施トライアルを開始することができ、一定のデータが得られている。つまり、試行錯誤を繰り返しながら、より優れた腸管寄生原虫叢のメタゲノム解析手法の開発が進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
共通配列をターゲットとしたプライマー設計では、食物等を含む他の真核生物由来の増幅産物の影響を除外できないことがあきらかとなったことから、原虫特異的 PCRプライマーの設計を、各分類群に絞ったターゲティングで実施、マルチプレックスPCRの系で、メタゲノム解析を実現する。
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Causes of Carryover |
新規プライマーの設計に時間がかかっており、プライマー発注分の資金を次年度に使用予定。
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