2023 Fiscal Year Research-status Report
Lipid Reprogramming Mechanism of Hepatitis Virus
Project/Area Number |
22K07111
|
Research Institution | Foundation for Biomedical Research and Innovation at Kobe |
Principal Investigator |
塩田 智之 公益財団法人神戸医療産業都市推進機構, その他部局等, 研究員(上席・主任研究員クラス) (80616144)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村松 正道 公益財団法人神戸医療産業都市推進機構, その他部局等, 研究員(副センター長・部長クラス) (20359813)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | A型肝炎ウイルス / 極長鎖脂肪酸 / RNAseq解析 / 脂肪酸合成酵素 / 脂肪酸伸長酵素 / 脂肪酸取込酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、A型肝炎ウイルス(HAV)のCRISPRゲノムワイドスクリーニングによって同定された脂質代謝に重要な役割を果たす、ACACA、HSD17B12のHAV生活環における役割を明らかにすることにより、HAVが脂質代謝を変化させ、極長鎖脂肪酸をどのように効率的な複製機構に利用しているかを明らかにすることである。 各因子ノックアウト細胞の解析により、ACACAによりコードされるACC1、HSD17B12によりコードされる17β-HSD12がともにHAVの複製に重要であることが明らかとなっている。 宿主側責任候補遺伝子の同定については、RNAseq解析により得られている感染後に発現が増加する因子の内、脂肪酸伸長酵素ELOVL4についてタンパク質レベルでの発現上昇とノックダウンによる増殖抑制を確認していたが、今回ELOVL7についても同様の傾向を確認することが出来た。つまり、極長鎖伸長反応がHAV感染によって促進されていることが示唆された。また、脂肪酸取込み酵素の一つACSL5の感染による大きな発現上昇をRNAとタンパク質レベルで確認し、ノックダウンによってウイルス増殖が抑制されることが分かった。更に、この脂肪酸取込み上昇をBODIPYによって視覚的にも確認することが出来た。 ウイルス側責任遺伝子の同定として、レプリケーションコンパートメントと推定される構造を形成し、極長鎖脂肪酸合成を促進する可能性が高いHAV非構造タンパク質2Bの発現による脂質関連宿主因子発現への影響を確認した所、大きな影響は確認されなかった。 つまり、極長鎖脂肪酸はHAV複製に重要であり、感染によるELOVL4と7による極長鎖脂肪酸合成は、ACSL5の発現亢進によってbuilding blockを供与されていることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要の通り、昨年度得られた研究実績に更なる進展が見られている。更に、2年目以降に予定している極長鎖脂肪酸のレプリケーションコンパートメント形成への関与についてのイメージングに先立ち、ACSL5によるBODIPYの取込みを確認することが出来ており、概ね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
2年目以降に予定している2つの項目の内、①極長鎖脂肪酸合成酵素のレプリケーションコンパートメント構成への関与を確認する為、蛍光標識極長鎖脂肪酸添加後のレプリケーションコンパートメント形成の有無について超解像度顕微鏡によるイメージングを行う。②ウイルス側責任遺伝子の同定として、当初のHAV非構造タンパク質2Bに加えて、レプリケーションコンパートメントと推定される構造を形成する2BC、2Cについて、極長鎖脂肪酸合成促進の可能性を、これまでに同定されている脂質関連宿主因子の発現への影響により確認する。
|
Causes of Carryover |
当該年度までの研究は順調に進んでおり、助成金の適切な使用によって次年度使用分が生じた。 今後本格的に始まるイメージングを初めとした実験に対し、翌年度分の助成金を有効に活用する予定である。
|