2022 Fiscal Year Research-status Report
癌免疫療法により生じる免疫関連有害事象の発症予測マーカーの確立
Project/Area Number |
22K07256
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
名取 穣 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (90835662)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 免疫関連有害事象 / irAE / HLA / バイオマーカー / 免疫チェックポイント阻害薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト白血球抗原(HLA)は免疫チェックポイント阻害薬によって生じる免疫関連有害事象(irAE)発症の作用機序に関与している可能性がある。irAEはときに命に係わるため見落とすことのできない有害事象である。したがって個々人に特有であるHLA型がirAE発症を予測するバイオマーカーになり得ると考え、統計学的に関連性を調べている。 症例対照研究として、自施設の免疫チェックポイント阻害薬を投与された癌患者に研究協力を依頼した。研究同意を取得し、irAEを生じた患者を発症群、irAEを生じなかった患者をコントロール群とした。まずは発症率が高い内分泌irAE(免疫チェックポイント阻害薬を投与した約2~10%が発症)の収集が簡便であるため、内分泌irAEを中心にirAE症例の検体を収集した。並行してコントロール群の検体も収集している。両群のHLA型を、次世代シーケンサーを用いてアミノ酸配列レベルで詳細に解析した。目標100例のうち71例の解析を完了している。 今後も目標の症例数まで患者協力を依頼する予定である。また、得られたHLA型を分類し2群間の検定により統計学的有意差検定を行う予定である。単一のHLA型で有意差を認めない場合は、HLAアレル型を複数個組み合わせることで特異的なハプロタイプを探索する。有意差の出たHLA型のROC曲線を描出しオッズ比を算出することで感度・特異度を最適化したirAE発症予測マーカーを確立する。他のirAEの症状についても同様に発症予測マーカーを確立していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自施設の免疫チェックポイント阻害薬を投与された癌患者から研究同意を取得し血液検体を採取してる。まずは発症率の高い内分泌irAE(約2~10%が発症)を中心に症例の検体を収集した。目標100例のうち71例を確保し、今後も同様に研究への協力を依頼していく予定である。確保した検体は次世代シーケンサーにてHLA型を解析可能であることを確認しており、HLA型のデータ取得も順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も目標の症例数まで患者協力を依頼する予定である。得られたHLA型のデータをもとに逐次統計解析をおこない、有意差検定をおこなっていく予定である。有意差の出たHLA型のROC曲線を描出しオッズ比を算出することで感度・特異度を最適化したirAE発症予測マーカーを確立する。 マーカーの信頼性を確立するため、バリデーション目的の大規模解析を見据え、委託業者でのHLAアレルの解析を自施設または協力施設での安価なHLAアレル解析に移行する。 また、他のirAEの症状についても同様に発症予測マーカーを確立していく予定である。検体数の集積および安価な解析により、脳炎・心筋炎・ITPなど発症率は低いが致命的なirAEについて解析が可能になると考える。より重篤なirAEとHLAアレル型と発症の関係性について試行的な解析をおこない、今後の発展につなげていく。
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Causes of Carryover |
現時点では統計解析に至っておらず、必要な統計解析ソフトウェアを計上していない。次年度以降必要になる予定である。
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