2023 Fiscal Year Annual Research Report
運動制御におけるタスクスイッチングの検証とその神経基盤の解明
Project/Area Number |
22K07321
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北 佳保里 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (60550548)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 運動学習 / スキル学習 / タスクスイッチング / Motor Learning / Skill Learning / Task switching / Switch cost |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、両手である道具を使ったあとに、さらに同じ両手で別の道具を使用するなど、無意識かつ柔軟に異なるスキル間をスイッチしている。しかしながら、運動制御タスクにおけるスイッチコストの有無やその性質は明らかになっていない。本研究では、新たに獲得した運動スキル間を人がスイッチ可能であるか、またその際にスイッチコストが発生するかを検証した。 一般的に、コンピュータカーソルを動かす場合、片手で操作し、手とカーソルの動きのマッピングは直感的であることが多い。我々の実験では、手とカーソル間に新たなマッピング(de novo mappiong A, 左手の前後の動きがカーソルの左右、右手の左右がカーソルの前後を制御)を設定し、これを新たな運動スキルとして被験者に4日間学習させた。その後、直感的に操作可能なbaseline mapping(カーソルは両手の中間位置に提示される)を用意し、2つのマッピング間を繰り返しスイッチさせた際のコスト(運動方向の誤差、マッピング選択の正誤確率)を検証した。その結果、被験者はde novo mappingを学習可能であり、異なるマッピング間をスイッチした際には、スイッチ後、リーチングターゲットとは異なる方向に動き、エラーが増加することを確認した。またこのエラーは、正しいマッピングを選択しているが、その実行が不完全で発生しているのではなく、マッピングの選択の誤りに起因していることを明らかにした。 先の実験終了後、さらに、新たなマッピング(de novo mappiong B)を一部の被験者に学習させ、新たに獲得したスキル間をスイッチする際に生じるスイッチコストに関しても検証を行った。その結果、2つマッピングを学習直後はマッピング間をスイッチすることができないが、スイッチ自体を練習することにより、異なるスキル間をスイッチ可能となることを確認した。
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