2022 Fiscal Year Research-status Report
Investigation of multiscale cortical organization for causal attribution of macaques in social situations
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22K07323
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
足立 雄哉 新潟大学, 医歯学系, 助教 (40625646)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 認知神経科学 / 大脳皮質 / マカクザル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、経験した事象の自己や他者への原因帰属判断の神経メカニズムとして、霊長類大脳皮質領野間および領野内の神経ネットワークが関係し合う機構を調べることを目的とする。 日常生活のなかで、我々は自分や他者のよい出来事や悪い出来事に出会うと、その出来事の原因を知ろうという心理が働き、そのときどきの原因の認識のしかたはその後の行動に影響を及ぼす。妄想を伴う精神疾患において原因帰属過程に偏りが生じることが知られるだけでなく、出来事の原因を過度に自己や他者に帰属することは健常者においてもよく見られることである。自己や他者への原因帰属に関わる神経基盤の検証を、高時間解像度の電気生理学計測や人為的介入操作が可能な非ヒト霊長類において実施するために、マカクザルが2頭同時に参加する、社会的な状況下での原因帰属行動課題を構築し、行動実験を行ってきた。本年度は、出来事に関わるのが自己や同種他個体や仮想的な他者のどれであるかがその出来事のサルによる原因帰属の傾向に影響があると同時に、以前に原因判断を行ったのが自己であるか同種他個体であるかによって、その後の原因判断に影響があるという形で、自己と他者の間の相互作用があることを示唆する結果を得た。また、原因帰属課題行動実験の結果について本年度学会発表を行った。引き続き、他者や自身による以前の原因帰属判断がその後の自己の判断へ与える影響を検証する実験を継続するほか、開発中の皮質脳波電極を用いて原因帰属にかかわる脳領域ネットワークを検証するための電気生理記録実験を進行していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、社会的状況に置かれたマカクザルによる出来事の原因帰属課題行動実験において、以前に原因判断を行ったのが自己であるか同種他個体であるかということが、その後の原因判断における傾向に影響があることを示唆する結果を得た。また、原因帰属課題行動実験の結果について本年度学会発表を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
マカクザルによる出来事の原因帰属課題行動実験において引きつづき他者や自身による以前の原因帰属判断がその後の自己の判断へ与える影響を検証する実験を継続すると同時に、開発中の皮質脳波電極を用いて原因帰属にかかわる脳領域ネットワークを検証するための電気生理記録実験を進行する。
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Causes of Carryover |
マカクザルの行動実験・電気生理学実験に使用する機材・電極資材など消耗品について、次年度の実験に充てるために今年度に計画していた購入を次年度行うこととした。
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