2022 Fiscal Year Research-status Report
ウイルス由来マイクロRNAに着目した進行性多巣性白質脳症の新規診断法と治療法開発
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22K07361
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
高橋 健太 国立感染症研究所, 感染病理部, 主任研究官 (80711689)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 進行性多巣性白質脳症 / JCポリオーマウイルス / マイクロRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
進行性多巣性白質脳症 (progressive multifocal leukoencephalopathy, PML) は、血液系悪性疾患や後天性免疫不全症候群、自己免疫疾患などの主に免疫抑制状態にある患者で、乏突起膠細胞へのJCポリオーマウイルス (JC polyomavirus, JCPyV, JCV) の溶解感染により発症し、多くが致死的経過をたどる脱髄疾患である。近年では抗体医薬をはじめとする薬剤に関連したPMLの発症が大きな問題となっているが、効果的な治療法は確立されておらず、その開発が強く求められている。 本研究ではJCVがコードするマイクロRNA (miRNA) に注目し、ウイルスmiRNAを標的とした病理組織学的診断法とPMLの組織学的解析による病勢評価法を確立するとともに、JCV miRNAを標的としたPMLの新規治療法を開発することを目的とする。 令和4年度は、PML脳組織検体中のJCV miRNAを標的とした検索法について、既存の組織形態観察、ウイルスタンパク質を標的とした免疫組織化学染色、組織中のウイルスゲノム定量のためのreal time PCR法と併用して解析を行い、ウイルス感染症の病理組織診断系について検討した。また、PML脳の組織形態観察と免疫組織化学染色で得られた所見を組織から検出されたウイルスゲノム量と比較解析し、PMLの組織病理学的な病勢評価系について検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和4年度は、PML脳組織検体中のJCV miRNAを標的とした検索法につき、既存の組織形態観察やウイルスタンパク質を標的とした免疫組織化学染色、組織中のウイルスゲノム定量のためのreal time PCR法と併用して解析し、病理組織診断系としての検討を行った。また、PMLの組織形態観察と免疫組織化学で得られた所見を、組織から検出されたウイルスゲノム量と比較解析し、PMLの組織病理学的な病勢評価系について検討を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに行った解析につき、症例数を追加して検討を進める。
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Causes of Carryover |
年度末納品等にかかる支払いが、令和5年4月1日以降となったため。当該支出分については次年度の実支出額に計上予定。経費の節減により生じた残額については、次年度の研究費と併せ、上記研究のために必要な消耗品、試薬や論文投稿のための費用として使用する。
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Research Products
(2 results)
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[Presentation] 低IgM血症, 間質性肺炎, SLEを合併し, メフロキン, ミルタザピン, ヒドロキシクロロキンが有効であったPMLの1例2022
Author(s)
増田優介, 銭谷怜史, 松田隼弥, 船田信顕, 枝川俊二, 三ツ矢幸一, 高橋健太, 鈴木忠樹, 中道一生, 三浦義治
Organizer
第26回日本神経感染症学会総会・学術大会