2023 Fiscal Year Research-status Report
動脈硬化制御作用をもつ新規血管作動性物質による虚血性心疾患バイオマーカーの創出
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22K07386
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐藤 健吾 北海道大学, 大学病院, 臨床検査技師 (70549930)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白井 玲美奈 東京薬科大学, 生命科学部, 嘱託助教 (40870754)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 血管作動性物質 / 動脈硬化 / 虚血性心疾患 / バイオマーカー / 血管内皮細胞 / マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
1) 内因性発現:ヒト血管細胞であるTHP1単球、THP1由来マクロファージ、ヒト大動脈内皮細胞(HAEC)、ヒト大動脈平滑筋細胞(HASMC)における各々の血管作動性物質および受容体の内因性発現をqPCRで検討した。Neuromedin Sは全ての細胞に発現し、Neuromedin UはHAEC・HASMCに高発現し、THP1単球に低発現し、THP1由来マクロファージには殆ど発現しなかった。Nueromedin SおよびUの受容体であるNMUR1はHAECに高発現し、その他は低発現であり、NMUR2は全ての細胞に発現しなかった。FAM19A5はHAEC・HASMCに発現し、THP1単球・THP1由来マクロファージには殆ど発現しなかった。FAM19A5の受容体であるS1PR1、S1PR2、FPR2は全ての細胞に発現した。Cytokine-Like 1(CYTL1)はHAECに高発現し、HASMCに低発現し、THP1単球・THP1由来マクロファージには発現しなかった。RubiconおよびSecretoneurinは全ての細胞に発現した。 2) マクロファージの泡沫化:THP1細胞由来マクロファージにおける泡沫化をDil標識oxLDLを用いて検討した。Neuromedin Sは濃度依存的に泡沫化を抑制し、一方、Neuromedin Uは濃度依存的に泡沫化を促進した。FAM19A5は泡沫化を促進し、CYTL1は作用を認めなかった。 3) 血管平滑筋細胞の遊走:HASMCにおける遊走を検討した。Neuromedin Sは単独およびPDGF-BB誘導性の遊走を抑制傾向にし、Neuromedin Uは単独およびPDGF-BB誘導性の遊走を促進した。FAM19A5およびCYTL1は単独では作用を示さなかったが、PDGF-BB誘導性の遊走を抑制した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マクロファージの泡沫化は、従来、放射性同位元素(RI) である[3H]oleateを用いた方法で実施していたが、Dil標識oxLDLを用いた非RIの方法に変更し、条件検討に時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
Neuromedin S、Neuromedin U、FAM19A5、CYTL1、Salusin-βの7 分画のa) 血管内皮細胞のICAM-1、VCAM-1、E-selectin、IL-6、TNF-α、MCP-1の発現、b) 血管平滑筋細胞の増殖、c) マクロファージにおける炎症性フェノタイプ、d) マクロファージや血管内皮細胞からの炎症性サイトカイン分泌、e) 血管平滑筋細胞の細胞外マトリックス産生への作用について検討する。また、in vitro実験で作用が確認された血管作動性物質を動脈硬化自然発症モデル動物のApoe欠損マウスへ投与し、大動脈硬化病変形成への作用メカニズムを検討する。
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Causes of Carryover |
新たな実験での試薬を変更により支出が抑えられたため。次年度の消耗品購入や論文掲載料に充てる。
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