2023 Fiscal Year Research-status Report
α-synuclein神経毒性に対するアデノシンA2a受容体阻害の神経保護効果
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22K07532
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
佐藤 裕康 山形大学, 医学部, 講師 (90436204)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | αシヌクレイン / パーキンソン病 / アデノシンA2a受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
パーキンソン病(PD)を特徴づけるLewy小体には異常に凝集したα-Synuclein(αS)が蓄積しており、αSの凝集過程がドパミン神経変性に関与していること が示唆されている。 アデノシンA2a受容体(A2aR)阻害薬は非ドパミン系の機序で運動症状を改善させる薬剤として臨床応用されているが、本研究課題では、A2aR阻害が、抗炎症とαS凝 集抑制作用を介して、αSドパミン神経毒性を抑制する可能性を検討することを予定としている。アデノ随伴ウイルスによるαS発現PDモデルを用いて、A2aR阻害によるドパミン神経毒性に対する効果を検討する。組み換えAAV(AAV-αS)を作製、組み換えAAVをA2aRノックアウトマウス、および野生型マウスの中脳黒質に接種し、AAV接種後30日、60日、90日で脳を採取し、組織切片を作製し、ドパミン神経変性を評価している。AAV-αS接種をコントロールマウス(野生型)に接種すると30日後の時点では接種側の黒質ドパミン神経細胞は非接種側に対して43.1±33.7%に減少、A2aRノックアウトマウスでは62.6±21.6%に減少していた。AAV-αS接種後60日の時点では、接種側の黒質ドパミン神経細胞は非接種側に対して、コントロール群では40.9±22.6%、A2aノックアウトマウスでは32.5±19.9%に減少していた。それぞれのグループ内での個体差も大きいことから、AAV-αSno発現状況を確認するなど、現在解析の途中経過である。今後、αS凝集体の形成、炎症所見の変化について、A2aRノックアウトとコントロールで比較予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
組み換えアデノ随伴ウイルスのマウスへの接種において、ウイルス接種したマウスにおける目的タンパク質の発現に個体毎変動があり評価可能な個体数が限られていること、また組織学的な解析に時間を要している為。 次年度、ドパミン神経変性、αS陽性凝集体、炎症細胞の評価を順次すすめる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の目標として、すでに処置を行った動物の解析をすすめる。A2a受容体の有無が、ドパミン神経細胞変性、αS凝集に対する影響、炎症への効果の解析を継続する。
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Causes of Carryover |
動物の飼育費、管理費が主な経費となった。組織学的な解析に時間がかかり、前年度までに用意してある試薬を用いて組織学的な解析を行い、使用計画と使用額が異なった。残額は次年度以降、飼育管理費、実験試薬への支出として使用する予定です。
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