2022 Fiscal Year Research-status Report
内因性カンナビノイド2-AGが自閉スペクトラム症に及ぼす影響についての基礎的検討
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22K07591
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐郡 和人 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 助教 (00415168)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ASD / 内因性カンナビノイド |
Outline of Annual Research Achievements |
自閉スペクトラム症(ASD)は社会性の欠如、常同行動、固執性を主症状とし、てんかん発作、不安障害などを副症状とする発達障害であるが、その原因は未だに不明である。内因性カンナビノイドはASDに関与することが示唆されているが、どのようなメカニズムで関与しているのかは明らかとされていない。研究代表者は内因性カンナビノイド2-AGの合成酵素であるDGLα欠損マウスが自閉症様行動を示すことを先行研究で示してきた。本研究は次の3点を明らかにすることを目的として実施する。【目的1】 内因性カンナビノイド2-AGの合成酵素であるDGLαがどのようにASD様行動を引き起こすのか。また、2-AGを軸としてASDの発症仮説の統合が可能であるか、【目的2】 2-AG分解阻害剤が他のASDモデルマウスのASD様行動を緩和するか、【目的3】 内因性カンナビノイド量がASDではどのように規定されているのか。 各目的に対して本年度に実施した実験と結果は次の通り。【実験(目的)1】 AAVを用いてDGLα floxマウスのmPFCでCreを発現させ、mPFC特異的にDGLα欠損マウスを作成して行動解析を行った。その結果、mPFC特異的にDGLα欠損マウスでは社会性行動が低下することを明らかとした。【実験(目的)2】 ASDモデル系統であるBALBcマウスに2-AG分解阻害剤を急性投与して行動解析を行った(B6Jマウスとの比較)。その結果、2-AG分解阻害剤の急性投与によってBALBcマウスの社会性行動がB6Jマウスと同程度にまで亢進することを明らかとした。【実験(目的)3】 自閉症関連遺伝子データベースSFARIの中で特に重要と考えられる遺伝子を選定し、その遺伝子変動によってDGLα発現が調節を受けるかどうかの検討を開始した(公開されているデータをもとにした検討)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
所属研究室で使用していた機材(脳定位固定装置、行動実験装置)を使用できたため、実験環境の整備などに手間取ることなくスムーズに実験を開始することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
各目的に対して次の実験を2023年度中に行う予定である。【目的1】 DGLα欠損マウスの脳波測定、解析に着手する。【目的2】 ASDモデル系統であるBALBcマウスに2-AG分解阻害剤を慢性投与して行動解析を行う(B6Jマウスとの比較)。【目的3】 自閉症関連遺伝子データベースSFARIの中で特に重要と考えられる遺伝子を選定し、その遺伝子変動によってDGLα発現が調節を受けるかどうかの検討を行う(公開されているデータをもとにした検討)。
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