2023 Fiscal Year Annual Research Report
繊維芽細胞活性化タンパク質を標的としたアスタチン-211標識薬剤の開発
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22K07660
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
鈴木 弘行 千葉大学, 大学院薬学研究院, 助教 (70302578)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上原 知也 千葉大学, 大学院薬学研究院, 教授 (10323403)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 繊維芽細胞活性化タンパク質 / PET / 核医学治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
がん組織の間質に特異的に発現している繊維芽細胞活性化タンパク質の阻害剤(FAPI)は、がん組織に特異的に集積するため放射性核種の運搬体として有用である。FAPI誘導体は体内動態が非常に速やかであり、半減期の短い治療用の放射性核種を用いることで、効率的に核医学治療がきると考えられる。そこで本申請課題では、半減期の短いα線放出核種であるアスタチン-211を用いた標識薬剤を設計・合成し、実験動物を用いてその効果を実証することを目的とする。本年度は、従来知られているFAPI-04の構造を基に我々が開発したアスタチン-211を安定に標識可能なネオペンチル基を導入した薬剤を設計合成し、ヨウ素-125標識した薬剤の体内動態を評価した。FAPI-04は放射性核種の導入部位として水溶性の高い金属キレートが導入されているため、薬剤設計として水溶性のアミノ酸2分子を介してネオペンチル基を導入する薬剤を合成した。FAPI-04の構造中の繊維芽細胞活性化タンパク質結合部位を合成した。従来の合成法では、精製にHPLCを多用していたが、オープンカラムで精製する新たな方法を開発し、大量合成する方法を確立した。本方法を用いて作製したネオペンチル結合FAPI誘導体のヨウ素-125標識体は、所期に予測した体内動態と異なり、肝臓や腸管への集積が観察された。これらの減少は、我々が用いたネオペンチル基の脂溶性が高く、2分子のアミノ酸では不十分と考えられた。そこで、さらなる水溶性を高めた薬剤として、3分子のアミノ酸を導入した薬剤を設計し、体内動態の評価を行った。その結果、肝臓や、腸管への集積は低減し、本薬剤設計の有用性が示された。
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