2022 Fiscal Year Research-status Report
放射線治療と予後との因果を推論・探索する先駆的人工知能モデルの開発
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22K07676
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
井上 達也 順天堂大学, 医学部, 助教 (00733362)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 深層学習 / 敵対的生成ネットワーク / 放射線治療 / 治療効果予測 / 生成CT画像 / 線量分布 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在の癌治療の効果は集団レベルの平均的な確率から予測される。しかし治療の効果は、例え同じ処方でも個人が持つ背景に影響を受けるため個人ごとで効果は様々である。個人の治療効果を治療前に高い精度で推定することが患者に合わせた最適な治療を行う個別化医療においては必要不可欠である。本研究の目的は放射線治療を実施した患者データを用い、高い精度で治療効果の予測を可能とする人工知能モデルを開発することである。 本年度は放射線治療前の治療計画の段階で治療中の癌の進展を予測することを目的として、 非小細胞肺癌に対して放射線治療を実施した患者の治療前に撮影したCT画像および放射線治療計画で作成した線量分布のデータから治療期間中の肺癌の状態を予測する深層学習モデルの開発に着手した。この実験では治療期間中の患者の状態を反映したCT画像を予測生成するモデルを深層学習技術の一つである敵対的生成ネットワークにより作成した。 画像を生成するモデルの作成は人工知能開発プラットフォーム上で行えたが、構造類似度などの画像評価指標を用いてモデルにより生成した画像と正解となる実際の治療中に撮影した画像の比較を行った結果、その精度は臨床で使用するには不十分であった。 敵対的生成ネットワークモデルの学習に十分な症例数を組み込めていない点を考慮し、データの水増しを行えるようにモデルの改良を行った。また、更なる精度改善のためにモデルの損失関数の調整やパッチ数などの学習アルゴリズムの最適化に取り組んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、生成する画像の精度を高める目的で入力データとしてCT・線量分布の画像データを3次元データとして扱っていたが、学習に大幅な時間が費やされることが分かった。既存の画像処理装置では3次元データへの対応が難しく、2次元データとして扱う変換処理を行う必要が生じたため進捗に遅れが出ている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
癌の進展と放射線の影響との関係性を明らかにするため、今後は線量分布の変化に応じた画像データを生成するモデルへの改良を行っていく。また肺癌だけでなく頭頚部癌など、他の癌種に対してもモデルの作成を行い、汎用性の有無を検証していく。加えて、画像データだけだけでなく、癌の病期や病理型などの患者の臨床データを組み合わせることで精度の向上を目指す。
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