2023 Fiscal Year Research-status Report
自閉症スペクトラム障害のメカニズム解明のための脳機能イメージングプローブの創製
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22K07714
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
牧野 顕 福井大学, 高エネルギー医学研究センター, 准教授 (00566226)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 自閉症スペクトラム障害 / 脳機能 / PET / 分子イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、自閉症スペクトラム障害のメカニズム解明に寄与することが期待される脳内の分子標的に対して、特異的に結合性を示す新たなイメージングプローブの開発を進めている。これまでに標的とする脳内受容体に対する既報の阻害剤構造や標的受容体(タンパク質)の三次元構造解析データ等を参考としてイメージングプローブ候補化合物の設計を行った。合成の最終段階での放射性同位元素導入反応を考慮しながら、設計したプローブ候補化合物の合成スキームをデザインし、安定同位体のみから構成された非放射性化合物を有機化学的手法によって化学合成した。また、放射性フッ素による化学標識のための前駆体合成を行った。 プローブ候補化合物の有効性評価には、分子標的となる脳内受容体を特異的に発現した細胞の利用が有効である。そこで標的とする脳内受容体のみを発現した細胞の作製を継続的に試みている。しかしながら構築した細胞を用いて、インビトロ条件下で細胞と標品となる放射性リガンド分子との結合性の評価を試みているが、親和性を確認するに至っていない。結合性が失われた原因として、細胞内に組み込んだ脳内受容体タンパク質の三次元構造に変化が生じているなどが考えられるが、今のところ原因特定に至っていない。このために今回合成が完了したプローブ候補化合物が目的とする分子標的に対して親和性を有するか、その他の類似した脳内受容体に対して高い選択性を示すのか、といった基本的な機能評価を実施することができていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度の研究推進中にプローブ候補化合物のインビトロでの有効性評価実験に使用する評価実験系の不備が明らかとなったことから、本年度改めて評価系の再構築を進めたが、有効なインビトロ評価系の構築が達成されていない。外注による評価なども検討をしているが、1サンプルの評価に極めて多額の費用を要するため、現実的な選択肢ではないことが判明している。その結果、合成した化合物の有効性評価の点で研究が計画より遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き評価系の構築を進める。標的としている脳内受容体を特異的に発現する細胞の構築だけではなく、マウスの脳ホモジネートを使ったプローブ候補化合物の簡易的な有効性評価を実施することで、現在合成した化合物がプローブ候補化合物として少しでも可能性があるのかどうかについて調べる。
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Causes of Carryover |
評価実験の遅れにより、プローブ候補化合物の再設計、最適化に伴う再合成の費用、インビボ実験のための費用などの執行が遅れた。次年度に化学合成およびインビトロ、インビボでのプローブの性能評価実験の推進に使用する。
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