2022 Fiscal Year Research-status Report
間質性肺炎合併放射線肺臓炎モデルの確立と吸入ステロイド薬の放射線防護効果の証明
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22K07733
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
立野 沙織 近畿大学, 大学病院, 助教 (50881463)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土井 啓至 近畿大学, 医学部, 講師 (50529047)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 肺癌 / 放射線肺臓炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
実験に先駆け、現在の標準治療を施行した症例での肺臓炎発生パターンについて解析を行った。化学療法併用放射線治療を施行したIII 期非小細胞肺癌患者43 例を遡及的に解析した。放射線肺臓炎はGrade 2: 3: 5 = 12 (28%): 4 (9%): 1 (2%)で、Grade 2 以上の肺臓炎はCRT 開始後14.0 (7.1~49.6) 週で発症し、うち14 例(82%)は放射線治療開始後6 カ月以内に発症していた。全生存率や無増悪生存率、放射線肺臓炎発生率は、臨床試験の結果と相違ないものであることを確認した。 次いで、経時的に経過観察可能な放射線肺臓炎の動物実験モデルの作成を目指して動物実験を行った。 8週齢雄性C57BL/6Jマウスを片側胸部照射、両側胸部照射、非照射群に分け、照射は20Gyの単回照射を行った。照射後4週おきにCT撮影を行い、20週時点で肺を摘出し評価した。いずれも約16週時点で肺臓炎の出現を確認した。また、同様に8週齢雄性C57BL/6Jマウスに対して胸部に20Gyの単回照射を行った12時間後、60 時間後と、非照射のマウスでそれぞれ肺を摘出し、病理にてPDL1染色、ATM染色、TUNEL染色を行った。その結果、PDL1染色とATM染色では明らかな変化を認めなかったが、TUNEL染色ではTUNEL陽性細胞数は12時間後で増加し、60時間後には減少していた。したがって、放射線照射後、正常肺組織のアポトーシスは12時間以降は減衰することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今後の放射線防護の投薬実験に先駆け、放射線照射の技術の確認と、胸部照射による放射線肺臓炎の出現をCT画像や病理で確認し、進歩状況は概ね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
得られたデータをもとに、さらに放射線肺臓炎の動物実験モデルの確立を行い、放射線防護作用の検証のための投薬実験を行う。
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Causes of Carryover |
当該年度は主に基礎研究の裏付けとなる臨床データの収集と発表を行なった。得られた結果に基づいて、年度の後半より動物実験等を開始した。よって現在実験データを収集、解析中である。今後、本試験を開始し、放射線防護剤の投薬実験などを遂行する予定である。
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