2022 Fiscal Year Research-status Report
免疫ブースト効果によるがんの放射線治療効果向上の試み
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22K07767
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
渡部 明彦 富山大学, 学術研究部医学系, 講師 (20377253)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 良平 富山大学, 学術研究部医学系, 准教授 (60334736)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | バキュロウイルス / ネオ抗原 / 放射線 / がん免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
組換えバキュロウイルスの入手に関しては、共同研究先の金沢大学のワクチン応用免疫研究室から分与して頂く予定であったが、保存組換え体が失活してしまったため分与が難しくなった。そこで、外注することとし、組換えバキュロウイルスの設計を行い、現在、組換えウイルス構築について打ち合わせ中である。研究の中心となる組換えウイルスの利用がままならないため、大きな実績はまだないが、いくつかの進捗について言及したい。 まず組み換えバキュロの設計であるが、まだ最終決定ではないが、EF1プロモーター下にルシフェラーゼ遺伝子を配置して、下流側にSV40のPolyA部位を導入した遺伝子カセットをゲノム中に導入した組換えバキュロウイルスを構築してもらおうと考えている。現在、打ち合わせ中で、構造が決定したらすぐに構築を開始して貰う予定である。 Luc発現細胞を構築、単離をおこなった。ハイグロマイシン耐性遺伝子を発現するルシフェラーゼ発現ベクターを購入し、マウスのがん細胞であるRenca細胞と4T1細胞に遺伝子導入をおこなった。Geneticin存在下で培養し、それぞれの細胞株でコロニーを形成する5クロンを単離増殖した後に、ルシフェラーゼアッセイおよびウエスタンブロッティングで発現量を評価した。Renca細胞では、特に多く発現するクロン(他のものと比較して数百倍の発現量のもの)を取得した。また4T1細胞では取得した10クロンで発現量に大きな差はなかった。それぞれの取得クロンで増殖を比較したが、大きな違いはなかった。実験では今回得られた細胞を利用する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
BALB/cマウスを使用することを想定して、細胞の準備を行った。具体的には、保有していた乳がん由来の4T1細胞と新たに入手した腎がん由来のRenca細胞の培養を開始した。さらに、モデルネオ抗原としてホタルルシフェラーゼ遺伝子を発現するベクターを安定的に導入した細胞株の構築を試みた。ネオマイシン耐性遺伝子を保持するルシフェラーゼ遺伝子発現ベクターを細胞に導入し、ルシフェラーゼ発現細胞を5クロンずつ単離した。これらの細胞のルシフェラーゼの発現量と増殖効率を勘案して使用クロンを決定した。 ルシフェラーゼ遺伝子を発現するバキュロウイルスについては、予定を変更して、急遽外注することとした。現在、組換えウイルスの設計を終わり、その構築について依頼先と交渉中である。 組換え実験、動物実験の申請をおこなった。現在審査中で、審査が終わり次第、組換えウイルスの構築依頼をおこない、組換え体の解析に移りたい。5月中には認可されると考えて計画を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、組換えバキュロウイルスが入手できたら、in vitro、in vivoでの発現の解析を行う。また、ルシフェラーゼ遺伝子を発現するマウスのがん細胞をマウスに投与して、腫瘍形成能を確認する。このような基礎的な検討を実施した後に、担がんマウスへの放射線治療における、モデルネオ抗原を発現する組換えバキュロウイルス投与の効果についての検討を始める。組換バキュロウイルスの投与が腫瘍退縮を促進した場合は、当初計画していた免疫学的な解析をおこなう。腫瘍の退縮が認められない場合は、放射線の照射条件や、組換え体の接種条件の検討をおこなう。
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Causes of Carryover |
組換えバキュロウイルスが予定通り入手できなかったため、in vivo試験の申請が遅れ、それに伴って、実際のin vivo試験開始が予定よりも遅れてしまった。初年度に動物実験を実施する予定であったが、二年目の開始とせざるを得ず、その分の研究費を次年度使用に回した。支出時期が遅れてしまっただけで、内容については大きな変動はない。
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