2022 Fiscal Year Research-status Report
Study of intestinal dysbiosis in patients with Fontan Circulation
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22K07905
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
大内 秀雄 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 医長 (00517807)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石橋 知彦 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 上級研究員 (30722285)
浅野 遼太郎 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 非常勤医師 (60827004)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 腸内細菌叢 / フォンタン循環 / 炎症 / 慢性心不全 / フォンタン関連肝臓病 |
Outline of Annual Research Achievements |
途中成果を以下の様に整理し以下の抄録のもと、日本小児科学会、ヨーロッパ小児心臓病学会で発表した。 背景:フォンタン術後(F)患者では慢性的に高い静脈圧のため腸管を含めた多臓器うっ血による腸内細菌叢変容(GD)の存在が予測される。 目的:F患者でのGDの存在の有無、GDとF術後病態と予後との関係を検討する。 方法と結果:対象は当院に定期検査入院したF患者連続108例(24±8歳)と健常者44例(22±11歳)とした。糞便を採取し腸内細菌由来DNAを精製し、メタゲノム解析では16SrRNA遺伝子をシークエンス解析し菌種構成を評価した。腸内細菌叢のα多様性の解析としてOTUとFaith’s PDを、β多様性をUniFrac解析から評価した。また、心血行動態指標に加え、腸内細菌の体内侵入の指標として血中von Willebrand因子(VWF)を、肝線維化指標としてM2BPGiを測定した。健常者に比べF患者のα多様性は低く(両者p < 0.01)、β多様性もF患者で低かった(p < 0.01)。F患者では、OTU、FPDは心機能、心係数、BNP、動脈酸素飽和度との関連はなかったが、中心静脈圧と負相関し、最高酸素摂取量と正相関を示した(両者p < 0.05)。また、OTU、FPDはVWF及びMCBPGiと負相関を示した(両者p < 0.05)。腸内細菌叢解析後平均18か月の経過観察で108例中16例で心不全関連入院を要し、コックスハザード解析ではOTUとFPDはいずれもこの心不全関連入院と関連した(両者p < 0.05) 結論:F患者の腸内細菌叢は健常者に比べ菌種や多様性が減少し細菌構造も異なるGDを呈する。このdysbiosisは運動耐容能低下や心不全予後と関連することに加え、腸管うっ血に伴うBTを介した潜在的な肝線維化の進行に関連する可能性を示唆する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究仮説に近い結論を得て、途中成果を上記学会で発表した。更に症例を蓄積する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
症例を更に集積し、フォンタン循環患者の腸内細菌叢の変容と複雑なフォンタン循環病態の関連を明らかにしたいと考えている。特に、今後の研究では腸内細菌の属レベルでの解析を進め、特異的なフォンタン術後病態との関連を有する具体的な菌種を同定したい。また、フォンタン循環患者の特異的な合併症であるタンパク漏出性胃腸症や肺動静脈瘻合併患者と腸内細菌との関連も明らかにしたいと考えている。
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Causes of Carryover |
国際学会発表のための旅費計上が事務手続き上、遅れが生じたため、次年度の支出とした。 次年度は糞便検査キット購入、糞便解析(外部依頼)、情報収集と途中成果の発表のための旅費、論文作成のための添削費用および投稿費用としたい。
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