2022 Fiscal Year Research-status Report
ハプロ不全で発症するGLUT1欠損症の治療薬開発:既承認薬ライブラリーからの選別
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22K07908
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
高橋 悟 旭川医科大学, 医学部, 教授 (10431404)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻村 啓太 名古屋大学, 理学研究科, 特任講師 (60588474) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | グルコーストランスポーター / てんかん / 知的障害 / 治療 / 既承認薬 / ドラッグリポジショング / iPS細胞 / モデルマウス |
Outline of Annual Research Achievements |
GLUT1欠損症は、GLUT1遺伝子SLC2A1 (1p34.2)のハプロ不全により発症し、ブドウ糖が脳内に取り込まれないことにより生じる代謝性脳症である。中枢神経系でのエネルギー不足が慢性的に持続することにより、髄液中糖濃度は低値を示し、てんかん、知的障害、運動障害など多彩な神経症状が出現する.本症の根治的治療法はないため、ブドウ糖に代わるエネルギー源を供給するケトン食療法が行われる場合がある。この食事療法は、てんかん発作を軽減する効果は認められたが、知的障害や運動障害への効果はみられなかった。また、食事療法には多くの困難が伴い、長期間にわたり継続することは容易ではなく、小児の成長へ及ぼす長期的な影響についても不明な点が多い。我々は、本症の臨床的重症度とGLUT1発現量との間には関連性が示されていることに着目し、安全性と体内動態が十分に証明されている既承認薬ライブラリー(2055品目)から、GLUT1発現量を増やす治療薬を探索した。そして、臨床で使用可能な血中濃度で2倍以上の発現増加を示す既承認薬を同種同効薬2品目を含む3品目を同定した。本研究では、これらの候補薬の治療効果を検証することが目的である。検証には、患者iPS細胞由来の血管内皮細胞と患者と同一の遺伝子変異を有するモデルマウスを用いる。臨床治験計画を立案できる基礎データを取得することを最終目標としている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
旭川医科大学倫理委員会の承認を取得し、当科に通院中の2名のGLUT1欠損症患者(c.902_903insC,p.Val303Glyfs*78とc.997C>T,p.Arg333Trp)からiPS細胞を樹立し、多能性、自己複製能、核型などの基本的な解析を完了した。さらに、既報告のp.Pro485Leu変異 (Meyer K, et al.Cell 2018;175:239-253)のiPS細胞株の分与を受け、少なくとも3例以上のGLUT1欠損症患者由来iPS細胞株を取得した。これらのiPS細胞から血管内皮細胞へ分化誘導し、in vitro検証に用いる。さらに血管オルガノイドを作成し、血管新生に及ぼす効果も検証する予定である。GLUT1欠損症患者(c.902_903insC,p.Val303Glyfs*78)と同一の遺伝子変異を有するノックインマウスも作成中である。
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Strategy for Future Research Activity |
GLUT1欠損症患者(c.902_903insC,p.Val303Glyfs*78)と同一の遺伝子変異を有するノックインマウスの作成が遅れている。上手くできない場合には、理化学研究所バイオリソース研究センターで取得されているGLUT1欠損症モデルマウス(Glut1Rgsc200)での解析を予定する。上記の患者iPS細胞由来血管内皮細胞およびモデル動物を用いて、候補薬のin vitro及びin vivo検証をすすめる。
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Causes of Carryover |
GLUT1欠損症患者(c.902_903insC,p.Val303Glyfs*78)と同一の遺伝子変異を有するノックインマウスの作成が遅れている。モデル動物の作成は外部委託しているために、経費支出は動物が作出される次年度以降となる見込みである。
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[Journal Article] Associations of severity with biochemical parameters in glucose transporter 1 deficiency syndrome.2023
Author(s)
Nabatame S, Tanigawa J, Tominaga K, Kagitani-Shimono K, Yanagihara K, Imai K, Ando T, Tsuyusaki Y, Araya N, Matsufuji M, Natsume J, Yuge K, Bratkovic D, Arai H, Okinaga T, Matsushige T, Azuma Y, Ishihara N, Miyatake S, Kato M, Matsumoto N, Okamoto N, Takahashi S, Hattori S, Ozono K
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Journal Title
J Neurol Sci
Volume: 447
Pages: 120597
DOI
Peer Reviewed